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ほんとうの青空

故郷北海道にいるときは
空には天の川が流れ
ときどきは人工衛星やUFOが
空を横切ってゆくもんだと思っていた

けれども内地にやって来てからは
天の川どころか
冬にならないと
星空を見ることもまれにとだった

この世に生まれて最初に読んだ本が
「モヒカン族の最後」で
二番目に読んだ本が
「ほんとうの青空」だった

音もなく葉をひるがえす
ポプラ並木の下に腰を下ろして
海のすぐ近くのきみの家を
見下ろしながらすごした

いつだって
一番星が瞬きはじめる頃が
ぼくのほんとうの青空だった

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