世界はぼくらが切り刻んだ回数だけ
傷跡だらけの夕焼けになる
収奪がその本質の国家や資本の
蛭のように血膨れてゆく水平線が
一瞬だけ夕焼けの彼方にみえる
いくら傷つかないようにしようとしたって
不意の災害の後には誰も見向きもしないどころか
憐憫の陰にあらゆる差別が待っている
放射能は雨よりもしげく降り注ぎ
デフレ不況の上に消費増税では
もう誰ひとり屠殺場行きを免れることはできない
世界はいよいよ
血に塗れた札束と請求書だらけの世界となり
国家はいよいよ
税金で超え太っては荘厳な戦争をもくろむ
もちろんその裏で際限なく儲けようとする資本のため
ーこれはお前に殺されかけたときの頭の傷
これはお前を殺しかけたときの腕の傷
労災認定どころか
クビの直後に刑務所が待っていたとは
夕暮れにまた
煮付け用鯖水煮缶を開けながら
「これもセシュウム汚染だったか」と首を傾ければ
夕焼けはいよいよ紅い血飛沫を天空に撒き散らす
この美しい星テラのすべてを夢色に染めながら