http://www.labornetjp.org/news/2020/0723shasin
「復興五輪」どころか「災害五輪」〜東京五輪の中止を求める市民集会開かれる
→全動画(3時間)
7月23日、東京都・日本キリスト教会館において、「中止一択!東京五輪、そしてオリンピック廃止へ」(主催:オリンピック災害おことわり連絡会)と題した集会が開催され、会場席数を大幅に上回る参加者が集まった。集会では、来夏のオリンピック開催に否定的な意見が増えている状況を踏まえて、日本人ジャーナリストの講演のほか、国内外からビデオメッセージがあった。
まず始めに司会に立った鵜飼哲さん(一橋大教授/写真上)は、「今回の東京オリンピックには、主要なテレビ局、全国紙すべてがオフィシャルパートナーになっている。そのためか、問題点が正面から報道されていない状況が続いている。私たちとしては、今日の集会のタイトルにあるとおり、この状況下でオリンピック開催はあり得ないと考えている。それでも強行されようとしている五輪は『復興五輪』ではなく『災害五輪』だ」と述べた。
武田砂鉄さん(ライター/写真上)は「多くの人は、本当はオリンピックに反対なのだけど、なんとなく世の中の空気で『僕は反対だけど、どうせやるなら仕方がないか』という感覚があるのではないか。そのような人たちに、オリンピックの必要性を訴えるのに『今、ニッポンにはこの夢の力が必要だ。』という非常に曖昧なスローガンを持ち出してくる。さらにオリンピックの中身を見てみると、『復興五輪』と言っているのに、東北の被災自治体はこの『復興』という言葉に非常に批判的(実際にオリンピックが被災地復興に直接つながる訳ではない)で、真夏の東京でマラソンを強行しようとしたり、アサリで水質改善させようとしたり、お粗末とも言える準備を続けてきた。一年延期になったが、問題は何も解決されていない。コロナ収束でオリンピックと言われるが、その前にオリンピックは何が問題なのか、立ち返る必要がある。
オリンピックに向けて頑張ってきた選手のためということが言われるが、むしろ、選手のために汚れた五輪を許してはいけないということを私たちが指摘していくべきだ。延期決定前に従来どおりの日程で開催を強行しようとしていた人たちは、『選手の声』というものを使って、自分たちのレガシーを実現しようとした。コロナで個々人の日常生活に制限が出ている中、なぜオリンピックばかりが優先されるのか。オリンピックを強行するというのは特定の人たちの意見であり、もっと多くの人、社会に寄り添う必要があるのではないか」と訴えた。
志葉玲さん(ジャーナリスト/写真上)は、日本の入管当局による在日外国人に対する虐待事例を挙げながら「オリンピックの名の下に、ひどい事が行われている。私がオリンピックに批判的なのは、人権問題があるからだ。日本政府は、オリンピック開催のために在日外国人に対する取り締まりを強化し、難民を迫害している。在日外国人に対する差別、虐待がある日本でオリンピックをやっていいのか」と訴えた。
*志葉さんが紹介した入管虐待の映像
海外からもオリンピックの問題点を情報発信しているジュールズ・ボイコフさん(ジャーナリストで元五輪選手)やロサンゼルス、韓国ピョンチャン、パリの現地からビデオメッセージが寄せられた。
共同通信社が7月17日から19日までに実施した全国電話世論調査では、回答した7割の人が世界的なコロナウイルスの感染拡大を理由として、来夏開催に否定的な意見を持っていることからも分かるように、日本国内の多数の人々はコロナ対策を優先するよう求めている。その一方で、政府は「感染防止と経済活動の両立」をスローガンに掲げ続け、Go To Travelキャンペーンを代表にコロナ対策は後回しにされている。
今後一年ほどは、電通ならびに東京大会のオフィシャルパートナーである朝日、読売、毎日、日経、産経の新聞社とNHKを筆頭とするテレビ各社のメディアが、五輪開催に向けて大々的な宣伝を展開するだろうが、少なくない海外メディア及び邦字メディアの現場記者の一部は、五輪開催は客観的な判断として不可能と認識している。
五輪にこれだけ多くの問題が明らかになっている以上、一日も早い中止の決断と制限ある政策資源をオリンピックではなくコロナ対策に振り向けるべきだ。〔金子 通〕
*なお「オリンピック災害おことわり連絡会」は、7月24日夕方に、JOC に東京五輪中止の申し入れを行い、その後スタジアム周回のデモを行う予定。
「復興五輪」どころか「災害五輪」〜東京五輪の中止を求める市民集会開かれる
→全動画(3時間)
7月23日、東京都・日本キリスト教会館において、「中止一択!東京五輪、そしてオリンピック廃止へ」(主催:オリンピック災害おことわり連絡会)と題した集会が開催され、会場席数を大幅に上回る参加者が集まった。集会では、来夏のオリンピック開催に否定的な意見が増えている状況を踏まえて、日本人ジャーナリストの講演のほか、国内外からビデオメッセージがあった。
まず始めに司会に立った鵜飼哲さん(一橋大教授/写真上)は、「今回の東京オリンピックには、主要なテレビ局、全国紙すべてがオフィシャルパートナーになっている。そのためか、問題点が正面から報道されていない状況が続いている。私たちとしては、今日の集会のタイトルにあるとおり、この状況下でオリンピック開催はあり得ないと考えている。それでも強行されようとしている五輪は『復興五輪』ではなく『災害五輪』だ」と述べた。
武田砂鉄さん(ライター/写真上)は「多くの人は、本当はオリンピックに反対なのだけど、なんとなく世の中の空気で『僕は反対だけど、どうせやるなら仕方がないか』という感覚があるのではないか。そのような人たちに、オリンピックの必要性を訴えるのに『今、ニッポンにはこの夢の力が必要だ。』という非常に曖昧なスローガンを持ち出してくる。さらにオリンピックの中身を見てみると、『復興五輪』と言っているのに、東北の被災自治体はこの『復興』という言葉に非常に批判的(実際にオリンピックが被災地復興に直接つながる訳ではない)で、真夏の東京でマラソンを強行しようとしたり、アサリで水質改善させようとしたり、お粗末とも言える準備を続けてきた。一年延期になったが、問題は何も解決されていない。コロナ収束でオリンピックと言われるが、その前にオリンピックは何が問題なのか、立ち返る必要がある。
オリンピックに向けて頑張ってきた選手のためということが言われるが、むしろ、選手のために汚れた五輪を許してはいけないということを私たちが指摘していくべきだ。延期決定前に従来どおりの日程で開催を強行しようとしていた人たちは、『選手の声』というものを使って、自分たちのレガシーを実現しようとした。コロナで個々人の日常生活に制限が出ている中、なぜオリンピックばかりが優先されるのか。オリンピックを強行するというのは特定の人たちの意見であり、もっと多くの人、社会に寄り添う必要があるのではないか」と訴えた。
志葉玲さん(ジャーナリスト/写真上)は、日本の入管当局による在日外国人に対する虐待事例を挙げながら「オリンピックの名の下に、ひどい事が行われている。私がオリンピックに批判的なのは、人権問題があるからだ。日本政府は、オリンピック開催のために在日外国人に対する取り締まりを強化し、難民を迫害している。在日外国人に対する差別、虐待がある日本でオリンピックをやっていいのか」と訴えた。
*志葉さんが紹介した入管虐待の映像
海外からもオリンピックの問題点を情報発信しているジュールズ・ボイコフさん(ジャーナリストで元五輪選手)やロサンゼルス、韓国ピョンチャン、パリの現地からビデオメッセージが寄せられた。
共同通信社が7月17日から19日までに実施した全国電話世論調査では、回答した7割の人が世界的なコロナウイルスの感染拡大を理由として、来夏開催に否定的な意見を持っていることからも分かるように、日本国内の多数の人々はコロナ対策を優先するよう求めている。その一方で、政府は「感染防止と経済活動の両立」をスローガンに掲げ続け、Go To Travelキャンペーンを代表にコロナ対策は後回しにされている。
今後一年ほどは、電通ならびに東京大会のオフィシャルパートナーである朝日、読売、毎日、日経、産経の新聞社とNHKを筆頭とするテレビ各社のメディアが、五輪開催に向けて大々的な宣伝を展開するだろうが、少なくない海外メディア及び邦字メディアの現場記者の一部は、五輪開催は客観的な判断として不可能と認識している。
五輪にこれだけ多くの問題が明らかになっている以上、一日も早い中止の決断と制限ある政策資源をオリンピックではなくコロナ対策に振り向けるべきだ。〔金子 通〕
*なお「オリンピック災害おことわり連絡会」は、7月24日夕方に、JOC に東京五輪中止の申し入れを行い、その後スタジアム周回のデモを行う予定。