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新型コロナ:ブラジルで何が起こったのか?
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2020-07-24 八木啓代のひとりごと
新型コロナのおかげで、ずっとライブが休止となっております。
7月は大丈夫かと思ったのですが、それどころか、8月も難しいかもしれません。
日本を含むアジア圏では謎の理由により重症化率や死亡率が低いので、米国やブラジルのようなことになっていないだけで、和牛券にアベノマスク、GO TO TRAVELと次々に国民の税金をドブに捨てて、お友達に利権をばらまくという、世界でも例を見ない政策てんこ盛りの中、新型コロナ蔓延には終わりの兆しが見えません。
で、その、ブラジルですが。
確認されているだけで、感染者が230万近く。死亡者も85000人近くです。
一日あたりの感染者数が6万超えとか、大統領も陽性とか。
日本でも知名度が上がってきた、そのボルソナロ大統領は、軍が担ぎ出した人物です。
ブラジルは1964年から85年まで軍事政権で、反対派を激しく弾圧し、暗殺が横行し、音楽家などもほとんど亡命してしまうぐらいひどい状況だったのですが、それが85年にやっと民主化しました。
ただ、そのあとも、政権が不安定な状況が続いていたのですが、2006年に、労働組合の代表だったルーラが大統領になって、やっと安定して、国民のための政策が取られるようになってきます。
左派政権て、よく「バラマキ」に走って経済を悪化させると日本で思われているんですが、ルーラの時代、ブラジル経済は絶好調となります。ちなみに、中南米では、70年代から80年代に、軍事政権が軒並み新自由主義をガンガンに導入し、10年がかりで、国民からボロボロにむしりとってしまいますが、その反動で生まれた一連の左派政権が、新自由主義と決別することで、ガタガタになった格差社会や教育を是正し、経済を少しづつ立て直します。
そんなわけで、ルーラの人気は抜群でしたが、ブラジルでは大統領の再選ができないので、ルーラの後継者のジウマ・ルセフが大統領に立候補、ブラジル初の女性大統領になります。
ところが、このルセフに汚職疑惑が持ち上がり、弾劾されることに。
この汚職疑惑自体が、結局、まともな証拠は出てこず、まるで陸山会事件みたいな話なのですが、メディアが「黒」と決めつけて、ものすごいバッシングをおこなったのと、副大統領だったテメルが、ルセフに不利な証言をしたので、弾劾が通ってしまったのです。もちろん、後ろにいたのは、米国とブラジル財界です。(ちなみに、そのあと、汚職をしていたのは、このテメルの方だったことが明らかになります)
自分が大統領になるために、ルセフをハメた疑惑もあって、テメルの人気は最悪。リオ・オリンピックでは開会式の大統領の挨拶のときに、前代未聞の大ブーイングが起きるほどでした。
そのテメルの任期満了後の大統領選挙で、再度、立候補しようとしたのが、元大統領のルーラです。
ルーラの国民的人気は絶大だっただけに、これはもう当選確実、となっていたところに、今度はルーラに汚職疑惑が持ち上がり、なんとブラジル検察はルーラを逮捕し、立候補できないようにしてしまいました。
まあ、これも具体的な証拠はほとんどないに等しい疑惑で、そのせいで、ルーラはパリ市から「世界で最も有名な政治犯」として名誉市民に選出されています。この件は、世界的にはそういう評価です。
とはいえ、逮捕されてしまったので、立候補は無理。党もすぐに有力な後継者を出せなかったということもあって、2018年の大統領選では、軍と経団連をバックに付けたボルソナロが通ってしまったわけです。
2018年といえば、軍事政権が終わって33年。もう若い世代には実感がなかったというのが大きかったようです。
で、この人は、まあ、軍がバックアップしているだけあって、軍事政権にも賛成しているような人。なんとチリのピノチェトを尊敬していると発言したり、トランプのことも大好きというような筋金入りの極右で、ベネズエラが揉めていたときには、野党の指導者を全面バックアップして、ベネズエラ現政権潰しに尽力していました。
人種差別発言などもひどく、黒人や先住民、女性や同性愛者に対する露骨な差別はもちろん、アジア人蔑視丸出しの発言もしていますが、日本経済新聞の特派員さんなどは、そのアジア人蔑視発言ですら「悪意はない」とか必死で庇ってヨイショしていた、と、まあ、そういうところに、日本の経団連との関係は実にわかりやすい、というような人です。
今回のコロナでは、コロナは風邪だと言い張って、ブラジルを感染者・死者世界二位に押し上げました。
ポピュリストが人気を集めただけ、とレッテルを貼るのは簡単ですが、こういうトンデモな政治家がのさばるようなことになった理由として、一つ言えるのは、メキシコの2006年の大統領選挙や2010年の陸山会事件でやられたように、検察とメディアがタッグを組めば、(あるいはその両方を丸め込めたら)、世論操作やでっちあげが簡単だということです。
強力で目障りな政治家がいたら、司法取引かそれに類するもので「証人」を一人か二人作れば、汚職疑惑なんていくらでもでっち上げることができるし、そうやって逮捕や起訴すれば、政治活動を止めることができる。なにより、左派寄りの支持者ほど、指導者に清廉潔白さを求めるので、メディアが「汚職だ腐敗だ、政治とカネだ」と連日騒ぐだけで、簡単に水をぶっかけることができるんです。そこは自民党支持層とは逆。
逆に、誰が見ても明白な汚職があっても、検察が動かず、メディアがあんまり騒がなければ、人の噂も75日で、なんとなく。ずるずる立ち消えになって忘れ去られるんです。今の安倍政権下の日本がまさにそうですが、
で、これが面白いほどうまくいくものだから、ここ10年ほど、世界のトレンドとしては、「目障りな左派政治家は、メディアを使って、汚職疑惑を盛り上げて潰す」という感じになっています。去年のボリビアのクーデターも、エクアドルも、全く同じ手口です。
まあ、新自由主義っていうのは、国民を痛めつけますが、富裕層にとっては笑いが止まらない政策なので、利権を享受するためならなんでもやるんでしょうね。
安倍政権にしたって、大企業や富裕層への課税を極力減らし、さらに、国民の年金を溶かして株の買い支えなんてやっているわけですから、そういう人たちにとっては打出の小槌なわけです。
ついでに、政権に近いと、犯罪でも不起訴にしてもらえたり、コネを期待してオイシい話がいくらでも転がり込んでくるわけですから、こうなるともう笑いが止まりません。是が非でもそういうオイシい状況は維持したいわけですし、そこに至らない人も、なんとか近づいておこぼれに預かろうと、一生懸命、ヨイショに励むわけですね。
40年ぐらい前の中南米が、けっこうオーバーラップしてくる感じですが。
と、まあ、日本はそれほど特別なわけではなく、世界はこういうふうにつながっているわけです。
とはいえ、それでも、今回のコロナ騒ぎで、トランプやボルソナロのトンデモさが明らかになってきましたし、思いつきと利権誘導まみれの日本の政策に、さすがに批判の声が高まりつつあるというところで、少し流れが変わるのではないかとほんのちょっぴり期待はしています。
ただ、そう言ってしまうには、犠牲が大きすぎるのですけどね。
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2020-07-24 八木啓代のひとりごと
新型コロナのおかげで、ずっとライブが休止となっております。
7月は大丈夫かと思ったのですが、それどころか、8月も難しいかもしれません。
日本を含むアジア圏では謎の理由により重症化率や死亡率が低いので、米国やブラジルのようなことになっていないだけで、和牛券にアベノマスク、GO TO TRAVELと次々に国民の税金をドブに捨てて、お友達に利権をばらまくという、世界でも例を見ない政策てんこ盛りの中、新型コロナ蔓延には終わりの兆しが見えません。
で、その、ブラジルですが。
確認されているだけで、感染者が230万近く。死亡者も85000人近くです。
一日あたりの感染者数が6万超えとか、大統領も陽性とか。
日本でも知名度が上がってきた、そのボルソナロ大統領は、軍が担ぎ出した人物です。
ブラジルは1964年から85年まで軍事政権で、反対派を激しく弾圧し、暗殺が横行し、音楽家などもほとんど亡命してしまうぐらいひどい状況だったのですが、それが85年にやっと民主化しました。
ただ、そのあとも、政権が不安定な状況が続いていたのですが、2006年に、労働組合の代表だったルーラが大統領になって、やっと安定して、国民のための政策が取られるようになってきます。
左派政権て、よく「バラマキ」に走って経済を悪化させると日本で思われているんですが、ルーラの時代、ブラジル経済は絶好調となります。ちなみに、中南米では、70年代から80年代に、軍事政権が軒並み新自由主義をガンガンに導入し、10年がかりで、国民からボロボロにむしりとってしまいますが、その反動で生まれた一連の左派政権が、新自由主義と決別することで、ガタガタになった格差社会や教育を是正し、経済を少しづつ立て直します。
そんなわけで、ルーラの人気は抜群でしたが、ブラジルでは大統領の再選ができないので、ルーラの後継者のジウマ・ルセフが大統領に立候補、ブラジル初の女性大統領になります。
ところが、このルセフに汚職疑惑が持ち上がり、弾劾されることに。
この汚職疑惑自体が、結局、まともな証拠は出てこず、まるで陸山会事件みたいな話なのですが、メディアが「黒」と決めつけて、ものすごいバッシングをおこなったのと、副大統領だったテメルが、ルセフに不利な証言をしたので、弾劾が通ってしまったのです。もちろん、後ろにいたのは、米国とブラジル財界です。(ちなみに、そのあと、汚職をしていたのは、このテメルの方だったことが明らかになります)
自分が大統領になるために、ルセフをハメた疑惑もあって、テメルの人気は最悪。リオ・オリンピックでは開会式の大統領の挨拶のときに、前代未聞の大ブーイングが起きるほどでした。
そのテメルの任期満了後の大統領選挙で、再度、立候補しようとしたのが、元大統領のルーラです。
ルーラの国民的人気は絶大だっただけに、これはもう当選確実、となっていたところに、今度はルーラに汚職疑惑が持ち上がり、なんとブラジル検察はルーラを逮捕し、立候補できないようにしてしまいました。
まあ、これも具体的な証拠はほとんどないに等しい疑惑で、そのせいで、ルーラはパリ市から「世界で最も有名な政治犯」として名誉市民に選出されています。この件は、世界的にはそういう評価です。
とはいえ、逮捕されてしまったので、立候補は無理。党もすぐに有力な後継者を出せなかったということもあって、2018年の大統領選では、軍と経団連をバックに付けたボルソナロが通ってしまったわけです。
2018年といえば、軍事政権が終わって33年。もう若い世代には実感がなかったというのが大きかったようです。
で、この人は、まあ、軍がバックアップしているだけあって、軍事政権にも賛成しているような人。なんとチリのピノチェトを尊敬していると発言したり、トランプのことも大好きというような筋金入りの極右で、ベネズエラが揉めていたときには、野党の指導者を全面バックアップして、ベネズエラ現政権潰しに尽力していました。
人種差別発言などもひどく、黒人や先住民、女性や同性愛者に対する露骨な差別はもちろん、アジア人蔑視丸出しの発言もしていますが、日本経済新聞の特派員さんなどは、そのアジア人蔑視発言ですら「悪意はない」とか必死で庇ってヨイショしていた、と、まあ、そういうところに、日本の経団連との関係は実にわかりやすい、というような人です。
今回のコロナでは、コロナは風邪だと言い張って、ブラジルを感染者・死者世界二位に押し上げました。
ポピュリストが人気を集めただけ、とレッテルを貼るのは簡単ですが、こういうトンデモな政治家がのさばるようなことになった理由として、一つ言えるのは、メキシコの2006年の大統領選挙や2010年の陸山会事件でやられたように、検察とメディアがタッグを組めば、(あるいはその両方を丸め込めたら)、世論操作やでっちあげが簡単だということです。
強力で目障りな政治家がいたら、司法取引かそれに類するもので「証人」を一人か二人作れば、汚職疑惑なんていくらでもでっち上げることができるし、そうやって逮捕や起訴すれば、政治活動を止めることができる。なにより、左派寄りの支持者ほど、指導者に清廉潔白さを求めるので、メディアが「汚職だ腐敗だ、政治とカネだ」と連日騒ぐだけで、簡単に水をぶっかけることができるんです。そこは自民党支持層とは逆。
逆に、誰が見ても明白な汚職があっても、検察が動かず、メディアがあんまり騒がなければ、人の噂も75日で、なんとなく。ずるずる立ち消えになって忘れ去られるんです。今の安倍政権下の日本がまさにそうですが、
で、これが面白いほどうまくいくものだから、ここ10年ほど、世界のトレンドとしては、「目障りな左派政治家は、メディアを使って、汚職疑惑を盛り上げて潰す」という感じになっています。去年のボリビアのクーデターも、エクアドルも、全く同じ手口です。
まあ、新自由主義っていうのは、国民を痛めつけますが、富裕層にとっては笑いが止まらない政策なので、利権を享受するためならなんでもやるんでしょうね。
安倍政権にしたって、大企業や富裕層への課税を極力減らし、さらに、国民の年金を溶かして株の買い支えなんてやっているわけですから、そういう人たちにとっては打出の小槌なわけです。
ついでに、政権に近いと、犯罪でも不起訴にしてもらえたり、コネを期待してオイシい話がいくらでも転がり込んでくるわけですから、こうなるともう笑いが止まりません。是が非でもそういうオイシい状況は維持したいわけですし、そこに至らない人も、なんとか近づいておこぼれに預かろうと、一生懸命、ヨイショに励むわけですね。
40年ぐらい前の中南米が、けっこうオーバーラップしてくる感じですが。
と、まあ、日本はそれほど特別なわけではなく、世界はこういうふうにつながっているわけです。
とはいえ、それでも、今回のコロナ騒ぎで、トランプやボルソナロのトンデモさが明らかになってきましたし、思いつきと利権誘導まみれの日本の政策に、さすがに批判の声が高まりつつあるというところで、少し流れが変わるのではないかとほんのちょっぴり期待はしています。
ただ、そう言ってしまうには、犠牲が大きすぎるのですけどね。
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