Quantcast
Channel: 詩人PIKKIのひとこと日記&詩
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5481

有珠山

$
0
0
古い火口跡はみんな
金色銀色の沼になってしまい
どっちを向いても
海へと流れてゆく雲たち

透明な風がこころの隙間や
沼を埋め尽くすガマの穂を
優しく揺らしながら
吹き過ぎてゆくばかり

人間がみんな
死に絶えてしまったあとには
叶えられなかったその想いは
そよぐ樹や草原となリ風と話しつづける

君と初めて出会った川が
もしもまだ流れつづけていたら
ぼくは寄せては返すさざ波に
打たれるだけの廃船でありたい

Viewing all articles
Browse latest Browse all 5481

Trending Articles