思い出はみんな
近寄ろうとするほど輪郭を失い
蜉蝣のように遠い蒼穹の一点になる
初雪の前触れ雪虫
近寄り過ぎると見えなくなる街角の木枯らしがあり
噛み締めすぎたために
今ではもう廃市郊外のような言葉の残骸の山
原発事故の後にやっと気づく
「絶対に安全」と連呼洗脳し
死ぬまで騙すのがやつらのやり口
安全な空気や水や食べ物はもう永遠に戻らないのだと
きみの死亡通知書を前に立ち尽くす
きょうは例年よりも早い初雪
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十二月の詩(27) 死亡通知書
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