遠い森の奥から
故郷の漆黒の闇からのように
コノハズクの声が聞こえる
満点の星々というのに
なにひとつ思い出せないのは
どうしてなんだろうか
思い出せないままに
風の音だけの森へと踏み出せば
あちこちから枝々の囁きあう声
わたしには思い出が多すぎるのだろうか
それとももはや あの日の
一片の雲の記憶さえ思いだせないのだろうか
心が揺れ動くときはいつも
わたしが死すべきとき
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十一月の詩(16) 遠い森の奥から
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