新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な需要の低迷によって、多くの企業の業績が悪化している。特に、デジタルカメラやオフィス向け複合機を手掛けるキヤノン、汎用型の産業用ロボットなど工場の自動化(ファクトリー・オートメンション、FA)関連の機器を製造するファナックの業績悪化は見逃せない。
両社には、精密な組み立て技術が強みという共通点がある。長い間、精密機械は日本の“お家芸”だった。その象徴であるキヤノンやファナックの業績悪化は、日本経済全体が加速化する世界経済の環境変化にうまく対応できていないことを示唆する。その一方で、海外では5G通信機器や5ナノの最先端半導体の製造分野を中心に業績拡大を実現する企業がある。精密な組み合わせ技術を強みとしてきた日本企業は海外企業の後塵を拝している。
今後、米中対立の先鋭化など世界経済を取り巻く不確定要素は増大する。キヤノンやファナックなど日本企業を取り巻く経済環境の変化は一段と加速化するだろう。日本企業は、あきらめず、粘り強い姿勢で新しい技術を生み出し、変化をチャンスに変えなければならない。
■精密機械メーカーの業績悪化と先行き不安
これまで、キヤノンは世界のデジタルカメラ市場や複合機、レーザープリンター市場などで高いシェアを誇ってきた。また、ファナックや安川電機は、汎用性の高い産業用ロボットなどFA関連機器の需要を取り込んで成長を遂げてきた。いずれにも共通することは、精密な組み立て技術に強みを発揮してきたことだ。それは、2012年12月以降の日本経済の回復を支えた要因の一つだ。
しかし、2020年4~6月期のキヤノンやファナックなどの決算を見る限り、日本の精密な技術力が世界経済の中で優位性を発揮することは難しくなっている。キヤノンに関しては、事業ポートフォリオの分散化の遅れが響いた。スマートフォンの普及によってデジカメの需要が低下した。また、新型コロナウイルスのパンデミックが予想外に発生し、オフィス機器需要も落ち込んだ。需要の低下を補うだけの成長事業を同社は育成できておらず、四半期ベースではじめての最終赤字に陥った。
ファナックは新型コロナウイルスの感染拡大による自動車や航空機需要の大幅な低下に直撃された。中国では補助金政策が追い風となって自動車の生産が回復し、新車販売台数は前年同月比で増加している。しかし、中国以外の市場では生産と販売ともに壊滅的というべき状況だ。航空機大手米ボーイングは追加のリストラが必要なほど収益力と財務力が低下している。
キヤノンやファナックをはじめ、精密な組み立て技術を強みとしてきた企業の業績悪化は、日本経済の成長力が弱まっていることと言い換えてよい。日本には米中の大手ITプラットフォーマーのような成長期待の高い分野が見当たらない。また、コロナショックは日本がIT後進国であることを明確にした。それに加えて、これまでの経済成長をけん引した産業の競争力が低下している。そう考えると、今後の日本経済の回復はかなり緩慢なものとなる可能性が高い。
■深刻な最先端分野での技術開発の遅れ
見方を変えれば、日本は世界経済の変化に対応し、付加価値を生み出せる技術を確保できていない。海外に目を向けると、5G通信関連を中心に、最先端の情報通信やIT機器関連分野の設備投資が増加している。それは、日本企業が注力してきた分野とは違うところで世界経済の成長をけん引する動きが進んでいるということだ。
半導体の受託製造大手である台湾のTSMCや同事業の強化を重視する韓国サムスン電子は回路線幅5ナノメートルの半導体生産ラインの強化に向けて設備投資を積み増している。その背景には、5G通信の普及が通信基地やスマートフォン向けを中心に、より高性能かつ微細なICチップへの需要を高めるとの見方がある。
最先端の微細なICチップの生産技術をめぐる国際競争は激化している。ポイントは、企業の一つの取り組みが優勝劣敗を大きく左右する状況が鮮明になっていることだ。米インテルは7ナノメートルの半導体の量産体制の確立に手間取り、投入時期が2022年あるいは23年まで遅れる。その一方、米AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイス)はTSMCへの生産委託によってCPUの供給体制を整え、インテルよりも有利な競争ポジションを確保した。また、米国では画像処理に強みを持つエヌビディアの台頭も著しい。
現状、5ナノのチップ生産に使われるEUV(極端紫外線)露光機(ステッパー)はオランダのASMLのみが量産に成功している。1990年代にステッパー市場で高いシェアを誇ったニコンは、ASMLに追いつくだけの技術を確立できていない。また、キヤノンはステッパー事業から撤退している。その影響ははかりしれない。もし、ニコンやキャノンがひたむきに、粘り強く先端技術の開発と実用化を目指すことができたなら、状況はかなり違っただろう。ある意味では、1990年代初頭にバブルが崩壊し急速に景気が悪化する中で、日本企業は新事業の育成に負担しなければならないリスクから目を背けてしまった。言い換えれば、あきらめるのが早すぎた。その結果として、日本企業の強みは変化に取り残されてしまっている。
■企業に必要な変化をチャンスに変える発想
ファナックは米エヌビディアと提携し、「スマート・ファクトリー」の実現などを目指してきたが、収益減少をカバーするには至っていない。他方、コロナショックや米中の対立先鋭化などによって、世界経済の変化のスピードは急速に高まっている。気づいた時には状況が一変し、技術力や発想が陳腐化してしまったというのが多くの企業に共通する実感だろう。
だからといって変化を恐れ、新しい取り組みに背を向けても何も始まらない。変化の激しさが増す状況こそ、日本企業にはチャンスだ。重要なことは、コロナショックによって5G通信をはじめとするITインフラの整備、医療・創薬など人々の健康を守ることの重要性がはっきりした。企業経営者は自社の強みを認識し、重要性が高まる分野でこれまでにはない新しいモノやサービスを、世界に向けて供給することを目指すべきだ。口で言うほど容易な取り組みではないことはわかっている。しかし、それ以外に、企業が需要を生み出して持続的に、長期の存続を目指すことはできない。
世界経済のデジタル化によって、さらに高性能のICチップの重要性は高まる。それがわかっているからこそ、米国は5G通信分野で台頭してきた中国のファーウェイの覇権強化を阻止すべく、制裁を強化して対中半導体供給網を断ちたい。それは、日本にチャンスだ。どういうことかといえば、半導体が微細になるほど、高品質な素材や、より微細かつ精密な生産技術が求められる。現在、キヤノンもファナックも苦戦を強いられてはいるものの、精密な技術をさらに磨き、IT先端分野での活用を目指すことによって成長を目指すことはできるだろう。
既存の(機能が確立された)製品や装置は分解され、模倣されてしまう。中国は補助金政策や買収した海外企業からの技術移転を一段と強化し、半導体などの自給率向上に取り組んでいる。そう考えると、日本企業に求められることは、あきらめず、ひたむきに需要の高まりが期待される分野でのより微細、正確、かつ新しい技術の開発に取り組み、それを実現することだ。
(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)
コメント
1. 赤かぶ[92335] kNSCqYLU 2020年8月19日 18:21:57 : Etqgkm55TU : RGtULnlHMS9YdlE=[22179] 報告
※関連ツイートはこちらでご覧ください
キヤノンとファナックの業績悪化は、日本の精密機械技術が世界から取り残された証し
2. 2020年8月19日 19:38:25 : bybQET2hQs : cnhjSXhXdEJxRWc=[76] 報告
お家芸 中・韓・台に 先越され
3. 2020年8月19日 22:14:18 : i7bUeWDO5o : dHBiT2oyU21NOEk=[1476] 報告
気安く言うね。
不可能だ。二度と追いつけない。
4. 2020年8月19日 22:38:30 : adhfTJCgIs : cEVIQ0svcXN0U0E=[112] 報告
まだ韓国、中国を馬鹿にする馬鹿がいる。自分が何を知っているかも知らない。
5. 2020年8月20日 04:50:00 : VTH59AY6XQ : WWk1VDA0bXVWVGM=[338]
本当の原因は表に出てこないのだろうな
企業が独自技術を開発しても国が守らない
特許を申請しても却下されて、申請した書類の内容が海外に流される
だから核心の技術では特許申請せずに、その周辺技術で特許を取得するそうだ
そういう状態を多くの人が知っているのに改善しようとする者がいない
そういう不正を指示しているのが日本のずっと上のDSなんだろう
その日本のDSが海外のロスチャとかの資産家と繋がってしまっているわけだ
先の大戦の兵隊さんの状況と、日本企業が同じ状態になってるのだろう
敵と戦っているのに、政府の上層部が敵と繋がってしまっている
それじゃ勝てるわけない
天皇を白頭山に帰しましょうという話になります
6. 2020年8月20日 05:11:30 : ZEpZjRC56Q : NGxhbk9qZHBlbUU=[390] 報告
>5ナノのチップ生産に使われるEUV(極端紫外線)露光機(ステッパー)はオランダのASMLのみが量産に成功している。
米インテルは7ナノメートルの半導体の量産体制の確立に手間取り、投入時期が2022年あるいは23年まで遅れる。その一方、米AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイス)はTSMCへの生産委託によってCPUの供給体制を整え、インテルよりも有利な競争ポジションを確保した。
オランダと台湾のメーカーが独自の技術を身につけて、半導体業界の地殻変動を起こしたのだ。インテルさえ没落しかねないほど強力な力が働き始めた。台湾メーカーはファーウェイと断絶することになり、日本の半導体の素材産業は台湾と連合して行く方針だ。この裏に米国の戦略が隠されいる。
7. 2020年8月20日 07:11:29 : 97QUtYs45o : b2w0cURBb3Jyb28=[2] 報告
>>5 ほぼ同意!
>山本太郎と黒川敦彦は日本敗北の構造を乗り越えるか https://www.youtube.com/watch?v=LH4_s87aAC8
__兵頭正俊の状況の交差点 2019/06/23 に公開__
●最終処分場としての日本の政治
①廃棄の欧米医薬品 ②米国製ポンコツ兵器 ③遺伝子組み換え食品
④核のゴミ ⑤欧米企業の赤字部門 ⑥有害な欧米農薬
⑦欧米で失敗した政策(大量移民、モンサント種子、水道民営化、米農産物、米国債)
_______
上記、兵頭氏は「敗戦の構造」と表現している。だが、明治維新以降「日本の支配者が敵国や敵側にある西欧資本と内通して国民を欺き続けてきた」という事実を指摘していない。アミナイ・レポートのアーミテージ、戦争屋のラムズフェルド、そして今年はコロナ・パンデミックに関わっていると噂されるビル・ゲイツが勲章を授与されている。裏で繋がっていることは明らかである。
明治維新以降、日本民族は朝鮮田布施の勢力に権力を握られ、騙され、殺され続けてきた。そもそも●皇も吉田茂も戦前から敵国の内通者であり、売国奴だ。敗戦後、GHQ・CIAの植民地政策による偽装民主主義型の植民地統治が続いている。長期政権は例外なく売国政権であり、選挙そのものがスターリン方式の茶番だ。
*みんなが知らない「日本の支配構造」http://rakusen.exblog.jp/iv/detail/?s=22922833&i=201509%2F19%2F00%2Fe0069900_02503226.jpg
______________________________
8. 2020年8月20日 07:41:24 : i7bUeWDO5o : dHBiT2oyU21NOEk=[1477] 報告
ネトウヨの諸条件を無視した妄想上の仲間と妄想の枠組みと妄想上の最新技術と妄想上の愚かな競争相手の小話はもういいから。
今や台湾と仲間の日本強えー!にまで堕したのか?
ネトウヨはつい先日まで半導体製造装置は日本以外誰も作れない、核心技術を日本が独占支配しているとホルホルしていたよな。
そういう自画自賛で思考停止している間にこうなっていた。
また現場の技術は一流なのに上が、という想定も間違いだ。
今や技術など無い。現実に開発に失敗している。
東京大学の世界ランクは低い。
所詮は役人のファームだから当たり前なのだが、それを日本人は最高と信じている。
技術の世界から遠い奴ほど日本の技術は世界一という妄想にとりつかれやすいが、実はこれまでも何であれ日本の実力はたかが知れており、最先端ではなかった。
一つ二つ落ちた普及品を独占する位置で存在感を示してきた。
半導体の世界で言えばリバースエンジニアリングで他社の半導体を解析して同じものを作るパクり技術だけは世界最高だったかな。
だが普及品のポジションでは中国の方が格段に優れている。
最先端は韓国台湾、普及品は中国、日本はいらないってことだ。
冷静に自分の人生が今後どうなるか考えてみ。
日本もそれとほぼ同じことになるだろう。
それだけは確定している。
9. 2020年8月20日 08:41:23 : 97QUtYs45o : b2w0cURBb3Jyb28=[3] 報告
敗戦以降、CIA・GHQに食い込んだ関東軍・麻薬売買に関与していた里見機関の電通。そんな電通が支配するメディアの3S政策、考えること・批判することを許さない植民地向けの教育による洗脳が行き届き、日本人は考えること、疑うことを忘れてしまい、メディアに洗脳される猿と化している。
>自民党とは、日本を隷属国家にすべくCIAに作られ、米政府隷従DNAを埋め込まれた日本奴隷化装置
http://ameblo.jp/utzsugi-rei/entry-11943422801.html
○知力放棄の文化:思考という人間の基本的営為を報道者に委ねる国民的気質。
○共約不可能性:知識の多寡によって物事の見え方が全く異なり会話が成立しないこと。
〇我々の社会とは無知と軽薄によって成立している。言い換えれば情報統制とプロパガンダによって現実は遮蔽され、あるいは娯楽番組やスポーツ中継など低劣なコンテンツによって人間性は後退し、我々は考えているのではなく報道者のストックフレーズ(常套句)を自分の言説として口にしているのであり、つまりは思考体系を他者に委ねるという「知力放棄の文化」によって支配構造が維持されているわけだ。経堂雪乃
_______
また、岸信介・文鮮明の勝共連合と統一教会の「日本乗っ取り計画」、朝鮮カルト似非宗教・創価学会の「総体革命」、米国と在日支配層のための暴力装置である特捜部の暗躍が成功を収め、日本のメディア界・政界・官界・経済界も半島勢力に乗っ取られている。日本国民は、傀儡政権に支配され続ける奴隷の状態にある。そんな傀儡・売国政権の看板が朝鮮血筋の李晋三であり、すでに官邸そのものが朝鮮勢力に乗っ取られている。
>李明博の負の遺産:「日本は在日のもの、経団連は在日支配完了」李明博、刑務所で語る!?
2017年 10月 20日 https://quasimoto2.exblog.jp/237901097/
>気が付けば、日本中が朝鮮人に背乗りされていた!
http://kenbounoblog.blog.fc2.com/blog-entry-923.html
●安倍晋三こと李晋三の首相秘書官の中に5名も朝鮮人がいます。記憶に無いの柳瀬唯夫(柳唯夫)「影の総理 今井尚哉(李尚哉)」 宗像直子(玄直子) 長谷川榮夫(洪榮夫)http://blog.livedoor.jp/matrix_zero1/archives/2104910.html
10. 2020年8月20日 14:27:38 : RNifln3NOY : Y0hlaVRKOXIyQVk=[84] 報告
>>8
おいおい、いつの間に台湾が日本の仲間になってるんだよ?
台湾は台湾の味方であって、それ以外の何物でもないぞ
変な言いがかりはよしてもらおうか
台湾には親日派はもう存在しない、というか既に大派閥ではないぞ
親中派と汎アジア派・・・要するに、中国とより親密になろう派と中国と一緒にアジアを盛り立てよう派が大勢を占めてるよ
あくまでも、中国とより関係を深めるか、一定の距離を置くか、の違い
両社には、精密な組み立て技術が強みという共通点がある。長い間、精密機械は日本の“お家芸”だった。その象徴であるキヤノンやファナックの業績悪化は、日本経済全体が加速化する世界経済の環境変化にうまく対応できていないことを示唆する。その一方で、海外では5G通信機器や5ナノの最先端半導体の製造分野を中心に業績拡大を実現する企業がある。精密な組み合わせ技術を強みとしてきた日本企業は海外企業の後塵を拝している。
今後、米中対立の先鋭化など世界経済を取り巻く不確定要素は増大する。キヤノンやファナックなど日本企業を取り巻く経済環境の変化は一段と加速化するだろう。日本企業は、あきらめず、粘り強い姿勢で新しい技術を生み出し、変化をチャンスに変えなければならない。
■精密機械メーカーの業績悪化と先行き不安
これまで、キヤノンは世界のデジタルカメラ市場や複合機、レーザープリンター市場などで高いシェアを誇ってきた。また、ファナックや安川電機は、汎用性の高い産業用ロボットなどFA関連機器の需要を取り込んで成長を遂げてきた。いずれにも共通することは、精密な組み立て技術に強みを発揮してきたことだ。それは、2012年12月以降の日本経済の回復を支えた要因の一つだ。
しかし、2020年4~6月期のキヤノンやファナックなどの決算を見る限り、日本の精密な技術力が世界経済の中で優位性を発揮することは難しくなっている。キヤノンに関しては、事業ポートフォリオの分散化の遅れが響いた。スマートフォンの普及によってデジカメの需要が低下した。また、新型コロナウイルスのパンデミックが予想外に発生し、オフィス機器需要も落ち込んだ。需要の低下を補うだけの成長事業を同社は育成できておらず、四半期ベースではじめての最終赤字に陥った。
ファナックは新型コロナウイルスの感染拡大による自動車や航空機需要の大幅な低下に直撃された。中国では補助金政策が追い風となって自動車の生産が回復し、新車販売台数は前年同月比で増加している。しかし、中国以外の市場では生産と販売ともに壊滅的というべき状況だ。航空機大手米ボーイングは追加のリストラが必要なほど収益力と財務力が低下している。
キヤノンやファナックをはじめ、精密な組み立て技術を強みとしてきた企業の業績悪化は、日本経済の成長力が弱まっていることと言い換えてよい。日本には米中の大手ITプラットフォーマーのような成長期待の高い分野が見当たらない。また、コロナショックは日本がIT後進国であることを明確にした。それに加えて、これまでの経済成長をけん引した産業の競争力が低下している。そう考えると、今後の日本経済の回復はかなり緩慢なものとなる可能性が高い。
■深刻な最先端分野での技術開発の遅れ
見方を変えれば、日本は世界経済の変化に対応し、付加価値を生み出せる技術を確保できていない。海外に目を向けると、5G通信関連を中心に、最先端の情報通信やIT機器関連分野の設備投資が増加している。それは、日本企業が注力してきた分野とは違うところで世界経済の成長をけん引する動きが進んでいるということだ。
半導体の受託製造大手である台湾のTSMCや同事業の強化を重視する韓国サムスン電子は回路線幅5ナノメートルの半導体生産ラインの強化に向けて設備投資を積み増している。その背景には、5G通信の普及が通信基地やスマートフォン向けを中心に、より高性能かつ微細なICチップへの需要を高めるとの見方がある。
最先端の微細なICチップの生産技術をめぐる国際競争は激化している。ポイントは、企業の一つの取り組みが優勝劣敗を大きく左右する状況が鮮明になっていることだ。米インテルは7ナノメートルの半導体の量産体制の確立に手間取り、投入時期が2022年あるいは23年まで遅れる。その一方、米AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイス)はTSMCへの生産委託によってCPUの供給体制を整え、インテルよりも有利な競争ポジションを確保した。また、米国では画像処理に強みを持つエヌビディアの台頭も著しい。
現状、5ナノのチップ生産に使われるEUV(極端紫外線)露光機(ステッパー)はオランダのASMLのみが量産に成功している。1990年代にステッパー市場で高いシェアを誇ったニコンは、ASMLに追いつくだけの技術を確立できていない。また、キヤノンはステッパー事業から撤退している。その影響ははかりしれない。もし、ニコンやキャノンがひたむきに、粘り強く先端技術の開発と実用化を目指すことができたなら、状況はかなり違っただろう。ある意味では、1990年代初頭にバブルが崩壊し急速に景気が悪化する中で、日本企業は新事業の育成に負担しなければならないリスクから目を背けてしまった。言い換えれば、あきらめるのが早すぎた。その結果として、日本企業の強みは変化に取り残されてしまっている。
■企業に必要な変化をチャンスに変える発想
ファナックは米エヌビディアと提携し、「スマート・ファクトリー」の実現などを目指してきたが、収益減少をカバーするには至っていない。他方、コロナショックや米中の対立先鋭化などによって、世界経済の変化のスピードは急速に高まっている。気づいた時には状況が一変し、技術力や発想が陳腐化してしまったというのが多くの企業に共通する実感だろう。
だからといって変化を恐れ、新しい取り組みに背を向けても何も始まらない。変化の激しさが増す状況こそ、日本企業にはチャンスだ。重要なことは、コロナショックによって5G通信をはじめとするITインフラの整備、医療・創薬など人々の健康を守ることの重要性がはっきりした。企業経営者は自社の強みを認識し、重要性が高まる分野でこれまでにはない新しいモノやサービスを、世界に向けて供給することを目指すべきだ。口で言うほど容易な取り組みではないことはわかっている。しかし、それ以外に、企業が需要を生み出して持続的に、長期の存続を目指すことはできない。
世界経済のデジタル化によって、さらに高性能のICチップの重要性は高まる。それがわかっているからこそ、米国は5G通信分野で台頭してきた中国のファーウェイの覇権強化を阻止すべく、制裁を強化して対中半導体供給網を断ちたい。それは、日本にチャンスだ。どういうことかといえば、半導体が微細になるほど、高品質な素材や、より微細かつ精密な生産技術が求められる。現在、キヤノンもファナックも苦戦を強いられてはいるものの、精密な技術をさらに磨き、IT先端分野での活用を目指すことによって成長を目指すことはできるだろう。
既存の(機能が確立された)製品や装置は分解され、模倣されてしまう。中国は補助金政策や買収した海外企業からの技術移転を一段と強化し、半導体などの自給率向上に取り組んでいる。そう考えると、日本企業に求められることは、あきらめず、ひたむきに需要の高まりが期待される分野でのより微細、正確、かつ新しい技術の開発に取り組み、それを実現することだ。
(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)
コメント
1. 赤かぶ[92335] kNSCqYLU 2020年8月19日 18:21:57 : Etqgkm55TU : RGtULnlHMS9YdlE=[22179] 報告
※関連ツイートはこちらでご覧ください
キヤノンとファナックの業績悪化は、日本の精密機械技術が世界から取り残された証し
2. 2020年8月19日 19:38:25 : bybQET2hQs : cnhjSXhXdEJxRWc=[76] 報告
お家芸 中・韓・台に 先越され
3. 2020年8月19日 22:14:18 : i7bUeWDO5o : dHBiT2oyU21NOEk=[1476] 報告
気安く言うね。
不可能だ。二度と追いつけない。
4. 2020年8月19日 22:38:30 : adhfTJCgIs : cEVIQ0svcXN0U0E=[112] 報告
まだ韓国、中国を馬鹿にする馬鹿がいる。自分が何を知っているかも知らない。
5. 2020年8月20日 04:50:00 : VTH59AY6XQ : WWk1VDA0bXVWVGM=[338]
本当の原因は表に出てこないのだろうな
企業が独自技術を開発しても国が守らない
特許を申請しても却下されて、申請した書類の内容が海外に流される
だから核心の技術では特許申請せずに、その周辺技術で特許を取得するそうだ
そういう状態を多くの人が知っているのに改善しようとする者がいない
そういう不正を指示しているのが日本のずっと上のDSなんだろう
その日本のDSが海外のロスチャとかの資産家と繋がってしまっているわけだ
先の大戦の兵隊さんの状況と、日本企業が同じ状態になってるのだろう
敵と戦っているのに、政府の上層部が敵と繋がってしまっている
それじゃ勝てるわけない
天皇を白頭山に帰しましょうという話になります
6. 2020年8月20日 05:11:30 : ZEpZjRC56Q : NGxhbk9qZHBlbUU=[390] 報告
>5ナノのチップ生産に使われるEUV(極端紫外線)露光機(ステッパー)はオランダのASMLのみが量産に成功している。
米インテルは7ナノメートルの半導体の量産体制の確立に手間取り、投入時期が2022年あるいは23年まで遅れる。その一方、米AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイス)はTSMCへの生産委託によってCPUの供給体制を整え、インテルよりも有利な競争ポジションを確保した。
オランダと台湾のメーカーが独自の技術を身につけて、半導体業界の地殻変動を起こしたのだ。インテルさえ没落しかねないほど強力な力が働き始めた。台湾メーカーはファーウェイと断絶することになり、日本の半導体の素材産業は台湾と連合して行く方針だ。この裏に米国の戦略が隠されいる。
7. 2020年8月20日 07:11:29 : 97QUtYs45o : b2w0cURBb3Jyb28=[2] 報告
>>5 ほぼ同意!
>山本太郎と黒川敦彦は日本敗北の構造を乗り越えるか https://www.youtube.com/watch?v=LH4_s87aAC8
__兵頭正俊の状況の交差点 2019/06/23 に公開__
●最終処分場としての日本の政治
①廃棄の欧米医薬品 ②米国製ポンコツ兵器 ③遺伝子組み換え食品
④核のゴミ ⑤欧米企業の赤字部門 ⑥有害な欧米農薬
⑦欧米で失敗した政策(大量移民、モンサント種子、水道民営化、米農産物、米国債)
_______
上記、兵頭氏は「敗戦の構造」と表現している。だが、明治維新以降「日本の支配者が敵国や敵側にある西欧資本と内通して国民を欺き続けてきた」という事実を指摘していない。アミナイ・レポートのアーミテージ、戦争屋のラムズフェルド、そして今年はコロナ・パンデミックに関わっていると噂されるビル・ゲイツが勲章を授与されている。裏で繋がっていることは明らかである。
明治維新以降、日本民族は朝鮮田布施の勢力に権力を握られ、騙され、殺され続けてきた。そもそも●皇も吉田茂も戦前から敵国の内通者であり、売国奴だ。敗戦後、GHQ・CIAの植民地政策による偽装民主主義型の植民地統治が続いている。長期政権は例外なく売国政権であり、選挙そのものがスターリン方式の茶番だ。
*みんなが知らない「日本の支配構造」http://rakusen.exblog.jp/iv/detail/?s=22922833&i=201509%2F19%2F00%2Fe0069900_02503226.jpg
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8. 2020年8月20日 07:41:24 : i7bUeWDO5o : dHBiT2oyU21NOEk=[1477] 報告
ネトウヨの諸条件を無視した妄想上の仲間と妄想の枠組みと妄想上の最新技術と妄想上の愚かな競争相手の小話はもういいから。
今や台湾と仲間の日本強えー!にまで堕したのか?
ネトウヨはつい先日まで半導体製造装置は日本以外誰も作れない、核心技術を日本が独占支配しているとホルホルしていたよな。
そういう自画自賛で思考停止している間にこうなっていた。
また現場の技術は一流なのに上が、という想定も間違いだ。
今や技術など無い。現実に開発に失敗している。
東京大学の世界ランクは低い。
所詮は役人のファームだから当たり前なのだが、それを日本人は最高と信じている。
技術の世界から遠い奴ほど日本の技術は世界一という妄想にとりつかれやすいが、実はこれまでも何であれ日本の実力はたかが知れており、最先端ではなかった。
一つ二つ落ちた普及品を独占する位置で存在感を示してきた。
半導体の世界で言えばリバースエンジニアリングで他社の半導体を解析して同じものを作るパクり技術だけは世界最高だったかな。
だが普及品のポジションでは中国の方が格段に優れている。
最先端は韓国台湾、普及品は中国、日本はいらないってことだ。
冷静に自分の人生が今後どうなるか考えてみ。
日本もそれとほぼ同じことになるだろう。
それだけは確定している。
9. 2020年8月20日 08:41:23 : 97QUtYs45o : b2w0cURBb3Jyb28=[3] 報告
敗戦以降、CIA・GHQに食い込んだ関東軍・麻薬売買に関与していた里見機関の電通。そんな電通が支配するメディアの3S政策、考えること・批判することを許さない植民地向けの教育による洗脳が行き届き、日本人は考えること、疑うことを忘れてしまい、メディアに洗脳される猿と化している。
>自民党とは、日本を隷属国家にすべくCIAに作られ、米政府隷従DNAを埋め込まれた日本奴隷化装置
http://ameblo.jp/utzsugi-rei/entry-11943422801.html
○知力放棄の文化:思考という人間の基本的営為を報道者に委ねる国民的気質。
○共約不可能性:知識の多寡によって物事の見え方が全く異なり会話が成立しないこと。
〇我々の社会とは無知と軽薄によって成立している。言い換えれば情報統制とプロパガンダによって現実は遮蔽され、あるいは娯楽番組やスポーツ中継など低劣なコンテンツによって人間性は後退し、我々は考えているのではなく報道者のストックフレーズ(常套句)を自分の言説として口にしているのであり、つまりは思考体系を他者に委ねるという「知力放棄の文化」によって支配構造が維持されているわけだ。経堂雪乃
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また、岸信介・文鮮明の勝共連合と統一教会の「日本乗っ取り計画」、朝鮮カルト似非宗教・創価学会の「総体革命」、米国と在日支配層のための暴力装置である特捜部の暗躍が成功を収め、日本のメディア界・政界・官界・経済界も半島勢力に乗っ取られている。日本国民は、傀儡政権に支配され続ける奴隷の状態にある。そんな傀儡・売国政権の看板が朝鮮血筋の李晋三であり、すでに官邸そのものが朝鮮勢力に乗っ取られている。
>李明博の負の遺産:「日本は在日のもの、経団連は在日支配完了」李明博、刑務所で語る!?
2017年 10月 20日 https://quasimoto2.exblog.jp/237901097/
>気が付けば、日本中が朝鮮人に背乗りされていた!
http://kenbounoblog.blog.fc2.com/blog-entry-923.html
●安倍晋三こと李晋三の首相秘書官の中に5名も朝鮮人がいます。記憶に無いの柳瀬唯夫(柳唯夫)「影の総理 今井尚哉(李尚哉)」 宗像直子(玄直子) 長谷川榮夫(洪榮夫)http://blog.livedoor.jp/matrix_zero1/archives/2104910.html
10. 2020年8月20日 14:27:38 : RNifln3NOY : Y0hlaVRKOXIyQVk=[84] 報告
>>8
おいおい、いつの間に台湾が日本の仲間になってるんだよ?
台湾は台湾の味方であって、それ以外の何物でもないぞ
変な言いがかりはよしてもらおうか
台湾には親日派はもう存在しない、というか既に大派閥ではないぞ
親中派と汎アジア派・・・要するに、中国とより親密になろう派と中国と一緒にアジアを盛り立てよう派が大勢を占めてるよ
あくまでも、中国とより関係を深めるか、一定の距離を置くか、の違い