緊急トークセッション : 「食」を支える卸売市場は誰の手に落ちていくのか?
1月25日(土) 東京の高円寺のイベントスペース「Grain」で、〔緊急トークセッション〕「食」を支える卸売市場は誰の手に落ちていくのか? と題されたトークイベントが開催された。主催は、築地中央卸売市場の豊洲への移転問題や、全国で改悪されつつある卸売市場条例に危機感を抱く市民による消費者団体「卸売市場制度を守ろう!都民連絡会」である。用意された50席は、関心を持つ参加者で満席となった。
司会は、長年、築地移転問題に関わり、汚染の事実を隠蔽し、土地購入した石原慎太郎元都知事にに578億円の返還を求める裁判を起こした水谷和子氏(一級建築士)。
パネラーは三人で、東京都中央卸売市場取引業務運営協議会会長代理で、昨年10月の運営協議会において東京都の卸売市場条例改正に強く疑義を唱えた藤島廣二氏(東京聖栄大学客員教授)、中国電力上関原発建設計画の反対運動や杉並区の複数の道路拡張計画と再開発計画などに憲法29条に基づく財産権(営業権や漁業権)で阻止・反対運動を展開してきた熊本一規氏(明治学院大学教授)、各地の卸売市場の現状に詳しい菅原邦昭氏(仙台水産仲卸組合事務局長)だった。三氏は、これまでの経緯や現状と問題点などをわかりやすく解説した。
*左から菅原・藤島・熊本の各氏
藤島氏は「誤解や先入観も多い卸売市場の役割、例えば卸売市場制度によって実は流通コストが抑えられている」と述べ、制度の様々な利点をこれまでの歴史を踏まえ、どう改悪され、どんな将来が予想されるかを話した。
熊本氏は、「卸売市場条例の改悪で営業権が侵害され、築地の仲卸業者が一切の補償も移転費用さえ払われず、東京都に強行された」と述べ、営業権の持つ意味を解説した。
菅原氏は「卸売市場制度が導入されるきっかけとなったのは米騒動であるが、一般に知られていることは米騒動の一部に過ぎず全貌はまったく違う様相であった」と多くの例をあげ、さらに「市場の制度の問題が地方自治に大いに関係してくる」と話した。
会場からは高円寺北中通り商栄会会長齋藤正明さんが、小規模小売店、商店街の危機感を実際の立場から話した。杉並区議会議員の松尾ゆりさんは、杉並区による阿佐ヶ谷再開発の問題について、また築地に住むGrainのオーナー加藤さんからこれまで行われた様々な問題のイベント等について話した。
参加者の赤江祐一さんは「いずれのお話も非常に中身の濃かったが、迫力もあり、判りやすく話してくれたので共感した。築地場内は残念ながら解体工事がほぼ終了する段階まできてしまったが、移転先の豊洲市場の現状は取扱高が都の見込みを下回り、施設の不備が次々と顕在化しているのに、仲卸業者等の懸命な努力で存続している状態にある。それなのに、『卸売市場条例改悪』という市場の制度そのものの破壊が加わろうとしている。全国的に進められているものであるが、生産者、消費者あるいは市場関係者にもあまり浸透していないので、このトークイベント次の展開が望まれる」と語った。
東京都の卸売市場条例が改悪される経緯や背景や。藤島廣二会長代理と都担当者のやりとりについては、 2019年10月28日開催の第25回東京都中央卸売市場取引業務運営協議会の議事録に掲載されている→ https://bit.ly/2RSKHf3
*「卸売市場制度を守ろう!都民連絡会」・・東京都議会本会議では昨年12月18日、卸売市場条例の「改正案」が可決・成立しました。卸売市場制度は、全ての人に向けて公平公正を確保するために厳しく制定された制度でした。卸売市場の開設者である各自治体では市場法改正に併せ「卸売市場条例の改正」を準備中。この動きに疑問を呈し、昨年9月に市民団体「卸売市場制度を守ろう!都民連絡会」(水谷和子代表)が立ち上げられました。
●参加者のCazさん(女性)が寄せた感想
小さな会場はもう満席でした。始まったばかりの会なのでしょう。とても大切な事だからと、壊されて行く築地市場を見続けながら集まった方々だと聴きました。地元高円寺の商店街に限らず各地から来ている方々もいて、ビデオカメラの多さに少し驚きました。
藤島先生は市場の研究をされておいでだとか、熊本先生は営業権のお話をされていました。私には目からウロコのようなお話でした。卸売市場条例が変わると聴き、ああそうなのかという程度の思いでいたものですから…。
講演前に流れていたイメージアニメで、今度の条例改正は今までと全く違うという事も分かりました。取引が自由になる規制緩和とはとても怖い事だと思います。卸売市場に、せっかく生産者が持ち込んだ品が、買い取ってもらえないトラブルが起きたり独占されて倒産したり、流通経路がバラバラで価格が安定しなかったり、不公平や争いが起きれば、たちまち資本力の強いところしか生き残れない。きっと不公平は起こりますよね。何故こういう仕組みが危うい条例が可決されるのか?
菅原さんのお話は米騒動の歴史や近代政治のお話で、こういう事を何となく聴いてはいたし、都民連絡会さんのチラシを読んではいたのですが、今回の条例改正は、過去の間違いをまた繰り返してしまいかねない。慎重に扱うべきものだと強く思いました。法律が難しいのは私たちを護るためだったのだと改めて思っています。市場法を簡単に変えた目的が理解出来ましたが、東京都の条例改正は、問題点が多いと思います。私に今何が出来るのか考えてみたいと思います。条例改正の問題は 議員さんはあまり話を していないと思いますし、市場の専門の人にももっと 頑張って欲しいですね。
※なお、このイベントの様子は https://twitter.com/keitarou1212/status/1221301588020490242?s=20 で録画公開中
(報告・ジョニーH)
1月25日(土) 東京の高円寺のイベントスペース「Grain」で、〔緊急トークセッション〕「食」を支える卸売市場は誰の手に落ちていくのか? と題されたトークイベントが開催された。主催は、築地中央卸売市場の豊洲への移転問題や、全国で改悪されつつある卸売市場条例に危機感を抱く市民による消費者団体「卸売市場制度を守ろう!都民連絡会」である。用意された50席は、関心を持つ参加者で満席となった。
司会は、長年、築地移転問題に関わり、汚染の事実を隠蔽し、土地購入した石原慎太郎元都知事にに578億円の返還を求める裁判を起こした水谷和子氏(一級建築士)。
パネラーは三人で、東京都中央卸売市場取引業務運営協議会会長代理で、昨年10月の運営協議会において東京都の卸売市場条例改正に強く疑義を唱えた藤島廣二氏(東京聖栄大学客員教授)、中国電力上関原発建設計画の反対運動や杉並区の複数の道路拡張計画と再開発計画などに憲法29条に基づく財産権(営業権や漁業権)で阻止・反対運動を展開してきた熊本一規氏(明治学院大学教授)、各地の卸売市場の現状に詳しい菅原邦昭氏(仙台水産仲卸組合事務局長)だった。三氏は、これまでの経緯や現状と問題点などをわかりやすく解説した。
*左から菅原・藤島・熊本の各氏
藤島氏は「誤解や先入観も多い卸売市場の役割、例えば卸売市場制度によって実は流通コストが抑えられている」と述べ、制度の様々な利点をこれまでの歴史を踏まえ、どう改悪され、どんな将来が予想されるかを話した。
熊本氏は、「卸売市場条例の改悪で営業権が侵害され、築地の仲卸業者が一切の補償も移転費用さえ払われず、東京都に強行された」と述べ、営業権の持つ意味を解説した。
菅原氏は「卸売市場制度が導入されるきっかけとなったのは米騒動であるが、一般に知られていることは米騒動の一部に過ぎず全貌はまったく違う様相であった」と多くの例をあげ、さらに「市場の制度の問題が地方自治に大いに関係してくる」と話した。
会場からは高円寺北中通り商栄会会長齋藤正明さんが、小規模小売店、商店街の危機感を実際の立場から話した。杉並区議会議員の松尾ゆりさんは、杉並区による阿佐ヶ谷再開発の問題について、また築地に住むGrainのオーナー加藤さんからこれまで行われた様々な問題のイベント等について話した。
参加者の赤江祐一さんは「いずれのお話も非常に中身の濃かったが、迫力もあり、判りやすく話してくれたので共感した。築地場内は残念ながら解体工事がほぼ終了する段階まできてしまったが、移転先の豊洲市場の現状は取扱高が都の見込みを下回り、施設の不備が次々と顕在化しているのに、仲卸業者等の懸命な努力で存続している状態にある。それなのに、『卸売市場条例改悪』という市場の制度そのものの破壊が加わろうとしている。全国的に進められているものであるが、生産者、消費者あるいは市場関係者にもあまり浸透していないので、このトークイベント次の展開が望まれる」と語った。
東京都の卸売市場条例が改悪される経緯や背景や。藤島廣二会長代理と都担当者のやりとりについては、 2019年10月28日開催の第25回東京都中央卸売市場取引業務運営協議会の議事録に掲載されている→ https://bit.ly/2RSKHf3
*「卸売市場制度を守ろう!都民連絡会」・・東京都議会本会議では昨年12月18日、卸売市場条例の「改正案」が可決・成立しました。卸売市場制度は、全ての人に向けて公平公正を確保するために厳しく制定された制度でした。卸売市場の開設者である各自治体では市場法改正に併せ「卸売市場条例の改正」を準備中。この動きに疑問を呈し、昨年9月に市民団体「卸売市場制度を守ろう!都民連絡会」(水谷和子代表)が立ち上げられました。
●参加者のCazさん(女性)が寄せた感想
小さな会場はもう満席でした。始まったばかりの会なのでしょう。とても大切な事だからと、壊されて行く築地市場を見続けながら集まった方々だと聴きました。地元高円寺の商店街に限らず各地から来ている方々もいて、ビデオカメラの多さに少し驚きました。
藤島先生は市場の研究をされておいでだとか、熊本先生は営業権のお話をされていました。私には目からウロコのようなお話でした。卸売市場条例が変わると聴き、ああそうなのかという程度の思いでいたものですから…。
講演前に流れていたイメージアニメで、今度の条例改正は今までと全く違うという事も分かりました。取引が自由になる規制緩和とはとても怖い事だと思います。卸売市場に、せっかく生産者が持ち込んだ品が、買い取ってもらえないトラブルが起きたり独占されて倒産したり、流通経路がバラバラで価格が安定しなかったり、不公平や争いが起きれば、たちまち資本力の強いところしか生き残れない。きっと不公平は起こりますよね。何故こういう仕組みが危うい条例が可決されるのか?
菅原さんのお話は米騒動の歴史や近代政治のお話で、こういう事を何となく聴いてはいたし、都民連絡会さんのチラシを読んではいたのですが、今回の条例改正は、過去の間違いをまた繰り返してしまいかねない。慎重に扱うべきものだと強く思いました。法律が難しいのは私たちを護るためだったのだと改めて思っています。市場法を簡単に変えた目的が理解出来ましたが、東京都の条例改正は、問題点が多いと思います。私に今何が出来るのか考えてみたいと思います。条例改正の問題は 議員さんはあまり話を していないと思いますし、市場の専門の人にももっと 頑張って欲しいですね。
※なお、このイベントの様子は https://twitter.com/keitarou1212/status/1221301588020490242?s=20 で録画公開中
(報告・ジョニーH)