$ 0 0 県境の山並みではもう アキアカネが尾根をゆく風に群舞している季節 けれどもう千メートル以上の登山は無理なので 風鈴の音に心を遊ばせている ふるさとに新設された高校グランドの水溜りに 番っては卵を産み付ける蜻蛉の群れを見上げる幼児のぼくがいる 「蜻蛉ってなんて馬鹿な生き物なんだべか」だったのに それと変わりない極楽蜻蛉の人生