草原に海霧が降る
金の雫のように 銀の雫のように
オアシスへと降り立った隊商のように
海のような草原を曳航されながら
少しづつ閉ざされてゆく視界
呻き声を上げながら夜へと面舵を一杯に取りながら
港への途中には点々と
浅瀬を示す灯に揺れ動く
ドンキホーテの片割れの家畜餌用サイロ
幾万の風にそよぐ草穂の真ん中を
なにかが音もなくやってくる
星々を背にした懐かしい生き物の影
波また波の水平線からひょっこりと
人工衛星が顔をだす
漆黒の夜へと染まってゆきながら
何もかもが音を潜めた港で
難破船のようにギシギシ軋る漁船に寝そべって
あらゆる星座が変形してゆくのを見上げる