<コロナに屈服した大義なき安倍・森・菅の電通五輪>
1月22日は、英タイムズの「五輪中止」報道に、政府や電通・JOCは振り回された。震え上がったろう電通・JOCなど関係者は、必死の対抗措置をとったようだ。十分に丸め込んでいるIOCのバッハ会長や豪州、カナダ五輪関係者の否定コメントで対抗した、と見られている。
東京が期待した、ワシントン新政権からの一言はなかった。欧米はコロナ対策で四苦八苦していて、ありえないと判断してる関心外の話題にコメントする余裕はなかった。
「ダンスは一人では踊れない。たとえ2,3人でも無理だ。5大陸の参加は絶望的だ。各国とも効くかどうか不明のワクチン確保で、汲々としている。ワシントンは、トランプの悪政を元に戻す大統領令や、議会の上院下院でのトランプ弾劾問題で、東京五輪に興味も関心もなかった」といっていい。
<安全で歓迎される電通利権五輪の実施は100%絶望的>
五輪に踊っている国民がいるだろうか。世論調査によると、1割か2割いるという。お目にかかって、本心を確かめてみたいものだ。存外、ホテルなど利害関係者だけかもしれない。ボランティアさえ集まらない。
大半の日本国民は歓迎していない。それどころではないからだ。政府の五輪優先のコロナ対策で、コロナ感染者を爆発的に増やし、治療する側の日本医師会は医療崩壊を叫び続けている。
国民の生命が危ぶまれているのだから、当然であろう。しかも、国民の一部では、深刻な生活苦に泣いている。ホームレスの人たちに政府・自治体は、どのような対策をとっているのか。生活保護に落ち込んでる人々への対策は万全なのか?
安心できるような情報は、全く聞こえてこない。
他方で、財閥・大企業への救済策は、しかと聞こえてくるから不思議である。財閥が自由に使える400兆円を、今こそ効率よく使うべきではないだろうか。内部留保は、今のような危機に蓄財していたのではなかったのか。政府は、なぜ孫や子供に負担させる血税に手を出すのか?
「安全な五輪」「コロナに打ち勝って、かつ東北復興を成し遂げた、その証としての五輪をやり抜く」という出鱈目な、菅らの大嘘を日本人の多くは信じていない。「五輪のお陰で、東北復興は遅れて、遅れて、やくざに血税が流れ込んだだけ」と事情通は鋭い指摘をしている。
「菅はそのことをよく知っている。しかし、五輪を止めたとなれば、即辞任するしかない。少しでも、官邸にいようとして、嘘を垂れ流している。都知事の小池も同じ。むろん、森喜朗などの利権屋も変わらない」との酷評も。
<「コロナに打ち勝ち、東北復興の証としての五輪」の大嘘>
いま「コロナに打ち勝つ」などと大法螺を吹ける人間が、この地球にいるだろうか。アメリカのバイデン大統領は「まだ10万人の死者が出る」と厳しい実情を打ち明けている。ワクチン接種も、期待する成果を収めていないアメリカだ。
しかし、日本は違う、と安倍や菅・森・小池らはほざいて恥じない。秋田県を含めて、東北の人たちに対する冒とくではないだろうか。
<IOCバッハも菅義偉も自分が生き延びるために強行する?>
イギリスのジョンソンは「制御不能だ」と匙を投げている。さらなる死者に怯えて震え上がっている。ドイツのメルケルの悲痛な映像を初めて見た。
事実上、実施されない電通五輪に「やるのだ」とわめき散らす菅やバッハの狙いは何なのか。
「菅は少しでも長く首相でいたい。バッハは利権・商業主義化したIOCの存続だが、二人とも人々の命よりも、自分たちが生き延びたい、ただそれだけのことだ」と事情通は断罪している。
実施するためには、コロナを成敗しなくてはならない。何かいい方法はあるのか。問われても、菅は答えられない。むろん、バッハもである。彼らこそが無責任の象徴なのだ。
コロナ退治の科学的根拠は示せず、単なる精神論でしかない。ラッパ吹きに過ぎない。
<「二匹目のナチス・ヒトラー誕生を許さなかった」との深読みも>
深読みすると、そのルーツは、旧満州国なる関東軍・日本政府の傀儡政権に遡る。ここに、すべての鍵が秘匿されているように思えてならない。歴史家の研究が期待されるのだが、ここで生まれた特務機関とされたアヘン王・里見機関と電通である。傀儡政権の広報宣伝のみならず、宣撫工作という特殊な任務を帯びた電通である。そこに目をつけた岸信介ら、財閥の支援を受ける商工官僚との結びつきが、戦後にも継続してゆく。そこでは日独連携下、ナチスのヒトラー手法も採用される。満鉄調査部も曲者である。
欧米を敵に回したヒトラーが、自己の権威高揚のために利用した五輪作戦。これを存分に生かそうとした岸の孫の安倍晋三、そして岸信奉者の石原慎太郎・森喜朗ら五輪推進派がぶち上げた、東京五輪獲得ではなかったのか。利権と権威高揚の一石二鳥作戦である。その先に平和憲法破壊の野望が秘められていたと推認できるだろう。
<五輪利用による利権と政権浮揚による平和憲法破壊作戦崩壊>
安倍が執着した2020年改憲実現公約と2020年東京五輪は、期せずして一致している。
賢明な読者は理解してくれるはずである。だが、コロナが国粋主義者の野望を打ち砕いた。この点は、あたかも蒙古襲来を台風が阻止したことと似ているではないか。
二度と戦争を繰り返させないという日本国憲法と平和国民の悲願が、国粋主義者の野望に打ち勝ったことになるのである。
2021年1月23日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)
【ロンドン時事】英紙タイムズ(電子版)は21日、新型コロナウイルスの感染拡大により開催を危ぶむ声が出ている今夏の東京五輪について、日本政府は非公式ながら中止せざるを得ないと結論付け、2032年開催を目指す方向で動いていると報じた。夏季五輪は24年がパリ、28年は米ロサンゼルスに決まっている。
報道によると、与党の幹部は「誰も最初に言い出すことを望んでいないが、総意は(開催が)難し過ぎるということ。個人的には開催されないと思う」と述べた。
日本政府が今夏の東京五輪中止を結論付けたとする英タイムズ紙の報道をめぐり、坂井学官房副長官は22日午前の記者会見で「いずれどこかの段階で、実際に開催するかどうかの判断を行う」と、中止の可能性もあると受け取れる発言をした。英紙報道の火消しを図るつもりだったとみられるが、かえって火に油を注いだ格好だ。 (時事)