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アリの一言 : 「災害派遣」ですすむ自衛隊への感覚マヒ

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「災害派遣」ですすむ自衛隊への感覚マヒ
2020年07月09日 | 自衛隊・軍隊

    
 今回の大雨水害のテレビ報道で、自衛隊の映像、その活動に対するコメントがこれまで以上に多くなっていると感じるのは私だけでしょうか。
 客観的データはありませんが、もしそうだとしたら、理由は2つ。1つは、自衛隊の活動(「災害派遣」)そのものがこれまでより広範になっていること。もう1つは、メディアの報道がより自衛隊に接近していることです。

 安倍晋三首相は4日の関係閣僚会議で、今回の災害に対し「自衛隊1万人態勢で臨む」と早々に打ち出しました。さらに7日には、「自衛隊をさらに1万人増強し、2万人態勢に拡大する」と表明しました(写真右)。安倍首相が自衛隊の「災害派遣」を拡大しようとしていることは確かです。

 テレビ報道は、自衛隊が画像に出る機会が多いだけでなく、キャスターが「自衛隊の手によって救出される人々」(7日、NHK)と解説したり、現場で取材にあたっている記者が被災者に「自衛隊が(救助に)来た時はどうでしたか」(7日、TBS系列)と自衛隊への感謝の言葉を引き出そうとしていました。

 一方自衛隊は、救出・救援活動を自らビデオで撮影しています(写真左)。広報のためです。消防や警察では考えられないことです。そして防衛省はHPのトップページで「災害派遣」を写真とともにアピールしています。

 災害が起こるたびに時の政権(自民党)は自衛隊を出動さ、大きく報道させます。その「災害と自衛隊」の関係が、固定化するばかりか、いっそう拡大し、それに対する疑問や批判の声がだんだん縮小・消滅していっているのではないしょうか。
 これはきわめて危険な、自衛隊に対する感覚マヒであり、自民党政権(国家権力)の思惑通りと言わねばなりません。

 これまで何度も書いてきたことですが、感覚マヒに抗うために、繰り返し強調しなければなりません。

 自衛隊の「主たる任務」は、「我が国を防衛すること」(自衛隊法第3条)すなわち、武力行使・戦争です。自衛隊は憲法(前文、9条)違反の軍隊です。「災害派遣」は自衛隊法第83条に規定されている付随的な活動にすぎません。

 にもかかわらず、災害のたびに自衛隊が人命救助・救援活動の主役であるかのように報道されます。これは軍隊としての自衛隊の本質、その違憲性を隠ぺいするものにほかなりません。
 結果、日米軍事同盟(安保条約)による対米従属の軍隊の危険性、年間5兆円を上回る軍事費(多くは米国製兵器購入)の不正支出は覆い隠されます。そして、災害時の活動にあこがれて(惑わされて)自衛官の募集に応じる絶好の求人(求兵)活動になります。これが「災害」に乗じた政府(国家権力)の自衛隊認知・拡張戦略です。

 被災者が救助する自衛隊に感謝するのは当然です。しかし、それは、本来災害救助・救援の専門組織が行うべきことを、自衛隊が代わりにやっているからにほかなりません。というより、本来あるべき組織をあえてつくらず、自衛隊に代行させて上記の目的を遂行しようとする、それが自民党政権の策略です。

 憲法違反の自衛隊(日本軍)は直ちに解散しなければなりません。災害に対しては、防災・救助・救援・復旧に特化した組織(省庁)を創設すべきです。そして5兆円をこえる軍事費は医療・福祉・災害対策へ回すべきです。
 災害という非常事態に乗じて自衛隊(日本軍)への感覚をマヒさせる国家権力の策略に陥ってはなりません。

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