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Channel: 詩人PIKKIのひとこと日記&詩
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アリの一言 : 日曜日記102「コロナ禍」で生き方を考える<2>「信頼」「共感」 ケン・ローチ監督

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http://www.labornetjp.org/news/2020/1592705319227staff01
アリの一言
日曜日記102・「コロナ禍」で生き方を考える<2>「信頼」と「共感」
2020年06月21日 | 日記・エッセイ・コラム

 ☆20日夜のNHK・ETV特集。新型コロナの第1波封じ込めに成功した(感染者443人、死亡者7人)台湾で、その指揮をとった陳建仁・前台湾副総統のインタビューが放送された。
 数々の貴重な教訓は、17年前のSARS感染の苦い教訓(大量の院内感染)から導かれたものだった。

 たとえば、「情報の透明性、共有」。政府の責任者が毎日テレビで状況を説明し、時間無制限で、市民からの疑問・質問に答えた。
 「感染者の早期発見と徹底した隔離」。PCR検査体制を抜本的に強化した。SARS以後、伝染病防止法を改正し、違反者に罰則を設けた。
 「デジタルフェンス」という独特の感染者感知システムで、14日間、感染者を徹底的に管理・隔離した。

 こうした政府の強力な措置は、個人のプライバシーと抵触する側面がある。民主主義を重視する台湾政府でその点の躊躇はなかったのか。その点も含め、陳氏は強調した。
 「最も重要なのは、市民の信頼です」

 SARSの時は、いま日本でも起きているような感染者・医療従事者に対する差別があった。しかし、今回それは問題にならなかったという。
 「市民は患者への共感と思いやり、医療従事者への感謝を学びました。感染症で市民は心理的に成長しました。共感は感染症対策に不可欠です。共感とは連帯の心です」

 「政府に対する市民の信頼」。日本に足りないものは数々あるが、絶望的に欠けているものが、これだろう。

 ☆19日のNHKニュースで、イギリスの映画監督・ケン・ローチ氏(84)が「コロナ禍」の社会について語った。「わたしは、ダニエル・ブレイク」などの作品で、社会的弱者にまなざしを向け続けている監督だ。

 ローチ監督は、自粛生活をしている自分と比べ、「貧しい人には自粛生活を維持する経済的な余裕はない。防護具もないリスクの中で低賃金で働かなければならない。感染は貧しい人に速く広がる。差別しているのはウイルスではない。社会だ」。

 「私たちの世代は無秩序で崩壊しかけた社会をつくってしまった。不平等、搾取、圧制、暴力がはびこる社会だ。私たちの世代がすべきは謝罪だ。代表して若い人たちに謝ります」

 ローチ監督は、社会に芽生え始めている変化に注目する。

 「これまですれ違っても忙しくて会話もしなかったのに、いまは『何か必要なものは?』『手伝いましょうか?』と声を掛け合うようになった」
 「この困難を切り抜けるためには、信頼できるものを見つけ出すことが大切だ。ドアをノックして『大丈夫?』と声をかけてくれる人。そんな人を私たちは信頼できる。その信頼の輪を広げていけばいい。隣人から地域のコミュニティへ、そして国へと広げて、連帯を築くのだ」

 ローチ監督の言う「ドア」は、物理的ドアだけではないだろう。
 私はどれだけの「ドア」をノックして、声をかけることができるだろうか。
*写真=ケン・ローチ監督

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