http://www.labornetjp.org/news/2020/pari69
第69回・2020年5月14日掲載
監禁日誌11 マクロナウイルス、いつ終わるの?
5月11日からフランスはロックダウンが解除され、パリなどまだウイルスが出回っている赤ゾーンでも経済活動(レストラン、カフェなど以外)と幼稚園・小学校が「ソーシャル・ディスタンス」をとりながら再開された。今回で「監禁」日誌は一応終わりにする。
●5月4日(月)
49日目。混乱はますます深まる。今日、政府のロックダウン解除法は元老院で否決された(保守が過半数、マクロン党員はほとんどいない)が、元老院の採決より国民議会が上だから何も変わらない。公共交通機関連合は「ソーシャル・ディスタンスなどロックダウン解除の条件を満たすと、利用者の受け入れキャパは1〜2割になる。それをオーガナイズするのは不可能」とフィリップ首相に書簡を出した(4月30日)。パリなどイルドフランス地域圏の市長329人は日曜、赤ゾーンの地区では学校再開を延期するように大統領に要請した(マスクその他の防護体制を整えるのが難しいから)。たとえばパリでは、13000人の学童の受け入れ(10%)が限度だとパリ市の教育担当は言う。今日、学校再開は5月14日(3日間の延長)とパリ学区は告知したが、7月4日までの7週間、「少人数で親の判断に任せ」、つまり毎日通うわけでもなく、給食も出せない状況では、学校の機能は果たせない。
マスクに関しては、案の定というか嘆かわしいというか、宣伝をしたハイパーに人々が殺到して、あっという間に売り切れたという。近所の薬局はどこも相変わらずマスクなし(高いだろうから買わないが)。スペインでは交通機関に乗る人で持っていない人に無料で配布、イタリアのトスカーナではサージカルマスク1日1枚分が無料で配布されるそうだ。そういえば昨日、近所に住む友人に道で出会い、サージカルマスクをしていたのでどこで手に入れたか聞いたら、職場で1日1枚配給されるとのこと。パリ市が約束した一人2枚の無料布マスクは、どうなったのだろうか。
今日の夕方には、以前から予定されていた「なぜ原子力は気候を救わないか」の討論会がネットで行われた。グリンピース、脱原発網、気候アクション網の主催。原発推進国のフランスでは、「気候を救おう」という原子力推進派のNPO(ノーベル賞科学者や著名な科学者が後援)があるほど、原子力はクリーンなエネルギーという誤解が根強い。若い層でもそれを信じる人が多いので、こういう企画が必要とされる。
今日のル・モンド紙にBNPパリバ銀行、トータル石油、サンゴバン、エールフランス、エアバス、ダノン、LVMHなど大企業の社長90以上、フランス企業連合までが署名した「経済復興の中心に環境を」というグリーンウォッシングの声明が掲載された。「グリーンでインクルージヴな(社会的措置も包括した)景気刺激策」などと、きれいごとというか嘘八百というか、盗人猛々しい。マクロンも得意なこうしたニュースピーク(好ましいイメージをうえつけるための意味のない言葉)に騙される人がいるのは信じがたいが、これがメディアに流布され通用してしまうのが、哀しい現実である。
死亡者数25201(病院15826 EHPAD 9375人)入院者数25548(重態3696人)
●5月5日(火)
50日目。14世紀のペストのときのquarantaine(40日間)「検疫」期間をとっくに過ぎても、ひとたび出回ってしまったウイルスはなかなか消えないようだ。
パリ市が約束したマスクだが、予定より枚数の供給が難しかったらしい。5月11日から薬局でひとり1枚(洗濯できる布製)無料で受け取れる原則。その日からネットで予約して(殺到してサイトが動かなくなるだろう)引換券を得て、薬局に取りに行くシステムでまず50万、それから35万枚用意されるというが、ゲットするのが大変そうーーパリの人口は220万以上だから足りないし。その他に、各区長が高齢者や人道援助などに関わる人々に配る分が50万枚、でもこれは使い捨て。やはりしばらくは自家製でいくしかない。措置の不十分さと遅さに市議会の野党は抗議した。緑の党はイダルゴ市長の社会党とパリでは連合与党なのだが、「屈服しないフランス」(唯一の市議、ダニエル・シモネ)と同じく無償で配るべきだと主張した。シモネは「ハイパー・スーパーの在庫を徴用して無償で配給せよ」と言っている。総合スーパーが政府より巧みにマスクをゲットして商売したことについては、医療スタッフに限らず人々の反感は大きい。マスクの恨みは後にどういう形で現れるだろうか?
さて、新型コロナウイルスの感染爆発はヨーロッパではイタリア、スペイン、フランス、ベルギー、続いてイギリスの順に医療危機に陥り、数多くの死者を出している。感染発生地から離れた国々はそれを見て体制を整える時間があったので、早くから国境封鎖やロックダウンなどの措置をとることができた。その一つの例がポルトガルで、ヨーロッパの南西端、地続きの国境はスペインだけという地理的要素が幸いして、感染が始まる時期が遅かった。そして、最初の死者が出た3月14日より前にロックダウンを決めた。
ポルトガル人経済学者のインタビューを聞いて興味深かったのは、国が早くからマスクなど防護用品の在庫を増やすために注文したほか、繊維産業の縫製工場が自発的にマスクの製造体制を作ったことだ。また、国はPCR検査の製造にもすぐ取りかかり、国内にない材料をすぐ注文したという。ポルトガルの人口に対する検査数は100万人中現在44000人以上でスペイン、ベルギー、イタリア、スイス、ドイツより多い。ポルトガルの死者は1047人で24時間以内の新たな感染は200人以下、感染者数全体も検査数が多いのに少ないから、感染の抑制は成功したケースといえるだろう。https://www.worldometers.info/coronavirus/
現在のポルトガルは、社会党に二つのラディカル左翼(ブロコとCDU:緑の党と共産党などの連合)からなる左派の連合政権で、公衆衛生緊急事態令を出したが、厳しい取り締まりはないという。6か月間の解雇禁止の政令を出し、また非合法滞在の労働者に滞在許可を出して、全住民が医療を受けられるようにした。しかし、2011年〜2015年、ポルトガルはEUから厳しい緊縮と構造的改革(ネオリベ政策)を強制されて公共サービスが弱体化した上、トゥーリズムにたよる国なので、経済への大きな打撃が懸念されるという。自国が受けた経験からEUに連帯はないと経済学者の彼女は言う。今後、コロナの打撃が大きいイタリア、スペイン、フランスなど南ヨーロッパは大きな経済危機になるだろうが、現在のEUの動きからは連帯は期待できない。
死亡者数25531(病院16060人、EHPAD 9471人)入院者数24775人(重態3430人)
●5月6日(水)
51日目。ロベスピエールの誕生日、彼は北部のアラス市で生まれた。芸術新潮の取材でこの町を訪れた時、歴史オタクの編集者が「ロベスピエールの生家が見たい」と付き添いの地域観光局の人に頼んだら、気が進まない感じで「パリに行く前に住んでいた家」の前に連れて行ってくれた。でもこんなにミュージアムやら「著名人ゆかりの家」とかが好きなフランスなのに、ロベスピエールの家は全く軽視されている。2016年にやっとアラス市がミュージアムにすることを決めて、2021年に向けて企画中とのこと。
さて、今日はマクロンが文化関係で働く人々に向けて「文化計画」を発表。映画・演劇・音楽関係などで働くアーティストや技術者の失業保険の権利を2021年8月までの延長(詳しくは複雑なので省くが、アーティストたちが要求したことを保証)を約束したので、まあみんなホッとしただろう。ドヌーヴやアジャーニなどスターも署名したからだろうか。そして、小さな美術館や図書館、メディアテーク、本屋、ギャラリーは5月11日から再開(でもパリは赤ゾーンが続きそうだから、学校と同じでどう対応するのか?)このマクロンのスピーチ、流れたビデオを見ると(特にロビンソン・クルーソーを引用するあたり)彼は興奮状態で完全にいっちゃってる感じ・・・恐ろしいというか、うーむ。
一方、俳優のヴァンサン・ランドンはインターネット新聞のメディアパルトで、彼が書いた民主主義を再生するためのテキストを読んだ。マクロン政権の健康危機管理と大統領に権力が集中する第五共和政を厳しく批判し、富裕層(資産1000万ユーロ以上)に1〜5%を貧困層のために出させる措置(「ジャン・ヴァルジャン」と命名)、大統領を含む為政者をリコールできる権利、汚職の厳しい取り締まり(長い懲役)などを提案したもの。ランドンは社会派の映画で主役を演じたりしているが、マクロンの薄っぺらな狂気と対照的な渋い冷静さだ。 https://www.youtube.com/watch?v=EdZBZUN2t-4&feature=emb_logo
死亡者数25809(病院16237人 EHPAD 9572人)入院者数23983(重態3147人)
●5月7日(木)
52日目。11日からのロックダウン解除について政府の告知があった。これまでと同様、論理の一貫性が全く見えない決定だ。イルドフランス、北部、ブルゴーニュ・フランシュ=コンテ、グランテスト(つまり北東部)とマイヨット島は赤ゾーンで、期待したほど感染が減っていないと認めながら(Roの値がどのくらいに落ちたか、肝心な数字を示さないからわからない)、赤ゾーンでも小学校は開ける。違いは中学と公園を開けないことくらい。似た状況のイタリアとスペインは9月まで開校しないことに決めたのに、幼稚園と小学校を何が何でも開校するのは、親が通勤できるようにするため以外に理由は考えられない。その証拠に、解除担当のカステックスは「高校生は大丈夫だが小さい子はひとりにさせられない」と言ったのだ。おまけに自治体、とりわけ親の選択(選択できない人もいるから責任を押しつけているだけだ)に任せて、1クラスに幼稚園は10人まで、小学校は15人までしか受け入れられない(幼稚園・小学校児童670万人中、来週は100万人の受け入れを予定)。教育面で一体何ができるだろうか?衛生面が保証されるだろうか?
ウイルスがまだ出回っているパリなどで、公共交通機関(現在30%)を7割まで増やし、しかし「ソーシャル・ディスタンス」を保つために利用者は15%に抑えたい(現在6%)という。そのためマスクは義務で、着用しないと135ユーロの罰金、しかしマスクは有料だ。通勤時間帯は雇用者の証明書を持たない人も罰金だそうだが、罰金切符を切るよりまず、どうやって乗客の交通整理をするのか?
首相や何人かの大臣による解除告知の記者会見と同時に、国民議会では健康緊急事態令延長についての討議がされていたが、メディアはほとんどそれを報道しない。国民議会では野党少数派は参加できる人数をさらに減らされた。「屈服しないフランス」はマスクの無償化、交通機関の無償化、公共薬品局の設置など17の修正案を提出したが、委員会で「受理できない」と討議さえできずに却下された。法令には緊急の社会援助措置もない。ロックダウン解除の内容に人々が混乱している隙に、自由の制限や監視強化など強権的な体制が進んでしまいそうなのが恐ろしい。解除後、集会は10人まで。でも今後はマスクをつけても(顔を覆っても)合法というわけだ(これまでは催涙ガス用のマスクを取り上げられた)。
そういえば、もう表に出てこなくなった「科学評議会」の免疫学者は、今の状態で解除すると集団免疫はないから感染が広がって再び外出禁止、それが繰り返されると言っている。制限を緩めたドイツではRoが1になって感染が増えたそうだ。そういうことを解除を告知するときにちゃんと言うべきだろう。
死亡者数25987(病院16386人、EHPAD 9601人)入院者数23208(重態2961人)
●5月8日(金)
*「公共病院万歳 私たちの健康は商売ではない」
53日目。5月8日は祝日、第二次大戦の終戦記念日(ヨーロッパにおけるナチスへの勝利)だ。パリ解放は前年1944年8月19-25日だが、パリ解放の内部レジスタンスの指揮をとったアンリ・ロル=タンギの妻セシールが今日101歳で亡くなった。彼女もレジスタンスにタイピストや連絡員として参加し、ダンフェール・ロッシュフォールの地下の司令部にいた。
さて、5月6日に、エコロジストのニコラ・ユロ(マクロン政権の環境大臣を辞任)がコロナ危機後の世界のための100の提起「・・・のときが来た」という文章をル・モンド紙に発表して話題になった。彼は、この政府では自分が考えるエネルギー移行など環境政策をまともにできないと言って2018年の8月末に辞任した。元タレントで知名度が高く人気のある人なので、シラクの時代から政治家に対して大がかりな環境政策を訴えているが、それをやるには現在の生産・消費システム、経済論理を本気で変えなくてはならないため、どの政権も口先だけで何も変わらない。今回ユロの100の提起は美辞麗句というかあまり内容がないが、さらに「5つの提案」と称して、安定・成長協定の見直しなどEUの抜本改革、環境保護に基づく貿易(自由貿易協定の拒否)、世界の他の地域に移転させた産業・農業を国内・EU内に戻すなど、よりラディカルな内容も掲げている。環境NGOや「屈服しないフランス」がこれらの政策を主張しても相手にされないが(この8週間に、コロナ危機後の社会変革について多くの提案が発信されたが、テレビ・ラジオでは大きな話題にならなかった)、今回のユロの提言はどれほど効果があるだろうか。ちなみに、賛同者にはヴァンダナ・シヴァなど国際的環境活動家のほか、女優のマリオン・コティヤールやジュリエット・ビノッシュ、歌手のヴァネッサ・パラディ、写真家のセバスチャン・サルガドやデザイナーのアニエスbなども並んでピープルの豪華キャストというか・・・グローバル大企業や不要で有害な開発業者に対して、「パリ協定に従わないなら国の援助金を出さない」程度で立ち向えるのか疑問だが、抜本的な社会変革政策の内容がもっと大勢の人に知られるようになり、賛同が増えていくことを願いたい。
死亡者数26230(病院16497人 EHPAD 9733人)入院者数22724(重態2868人)
●5月9日(土)
54e jour de confinement où l'on voit de plus en plus de masques dans la rue et préfère des masques "maisons".
54日目。町行く人に水色のサージカルマスクをつけている人がぐんと増えた。スーパーとかで買ったのだろうが、1枚60サンチームくらいするらしい。近所の薬局で売っているところは少なく、布マスクの作り方を貼り出した薬局もある(写真)。薬局の布マスクは5ユーロもするそうで(洗えるけど)、買った友だちは出来が悪いから自分で改造すると写真を送ってくれた。うちの家族内でもそうだが、友だちと電話でも「馬鹿げてとんでもないスキャンダルの、高くて醜いマスク(使い捨てのサージカルマスク)なんて買いたくない。公共交通機関や学校で義務なら無償であるべき」という立場で、自家製布マスクでいく。自家製布マスクの人たちはみんな布や形が違うから、ほんの少しは個性的だ。マスク・スキャンダルについてのル・モンド紙の記事をやっと入手した(定期購読してないので)。衝撃的だが、ちょっと時間がないので明日に回す。
今日はリベラシオン紙に載ったフランソワ・リュファンのインタビューの紹介を少し。このコロナ危機で示された政権の失策、嘘、戦略を立てられない無能さなどはすべて、マクロンやフィリップ首相に限らずここ30年来、財政省から政治を行ってきた者たちの(思想)学派の失敗を表していると彼は言う。マスクの製造さえできないこの連中には、農業や産業の変革やエコロジー政策などイデオロギー的にも心理的にもできないと言い切る。また、特にマクロンはグローバリゼーションを「狂気」とまで表現して、コロナ後の世界は以前とは違うと期待を持たせたが、みんなすぐ表現が変わって経済危機や負債の脅威を言うようになったと指摘する。そして、この危機が違う世界をつくるチャンスだと感じた人が多くても、元どおりどころかさらにひどいことになる危険が大きいと言う。時が来た(昨日の日誌参照)と言うだけでは何も到来せず、左翼とエコロジスト、大衆と中産層が力を合わせて闘わなければこの機会を逃してしまうと。リュファンはブリュノ・ラトゥールの表現も引用していたが、ラトゥールがコロナ危機について3月末に書いたテキストの翻訳をちょうど終えたところだった。5月中旬以降にウェブマガジンrealkyotoに掲載される予定。
死亡者数26310(病院16573人 EHPAD 9737人)入院者数22614人(重態2812人)
●5月10日(日)
*左は「病院のスタッフを支持」右に「マクロナウイルス、いつ終わるの?」
55日目。公式にはロックダウン最終日。土曜の晩に「健康緊急事態令」の7月10日までの延長が採決された。マスク無償をはじめ社会措置が全くない、感染者調査の過程で個人情報の保護が侵害される(スマホのアプリは引き下げられたが)などの理由で左派野党(社会党も含め)は反対したが、与党と多くの保守LRの議員は賛成した。
さて、明日5月11日からロックダウン解除だ。公共交通機関(メトロなど)の入り口でマスクを配ると言っているが、本当だろうか?なにしろマスクについては徹頭徹尾、嘘と支離滅裂な発言が続いたのだから。欠乏がわかってすぐ、自国でマスクを作ろうとは夢にも思わなかったほど、フランスのテクノクラートはマスクを軽蔑、マスクが嫌いなようだ。布マスクについても生地の種類や重量などが細かく指定され、業者が売るにはその規格検査が必要だ。
5月8日付ル・モンドの記事のスキャンダルの要点は、マクロンが政権を引き継いだ2017年に残っていた国の在庫7億枚強のサージカルマスクを、「有効期間切れ」と判断して担当曲は6億枚以上破棄し(中には湿気でダメになったものもあるが、使えるマスクも)、在庫の供給を一切しなかったことだ(10億枚以上必要)。そして、それが誰の責任なのか、国の機関と省の部署がいくつもあってよくわからず、歴代の大臣たちも誰も責任を引き受けない。FFP2マスクは病院などがそれぞれ在庫を確保することになっていた(これも行政決定で、誰も責任を引き受けない)が、国はパンデミック対策としてその在庫づくりを各地に確かめ、催促するのを怠ってきた。そしてもちろん、「節約」(予算削減)という強迫観念にかられた「管理」のせいもあるだろう。テクノクラート組織の破綻を示すスキャンダルだ。
スキャンダルといえば、「マクロナウイルス、いつ終わるの?」という垂れ幕を自宅の前に掲げた女性の家に警官が来て、彼女は短時間拘留されたという事件があった。警察による権力の濫用だ(国家元首を中傷しても罪にはならない、それにこれはユーモアが効いた言葉遊びの表現である)。それに憤慨し、連帯して自宅に「マクロナウイルス」のプラカードを掲げる人が続出したが、そのうち何人かが警官の訪問を受けたという。マクロン以前のフランスでは信じられない話だ。近所にもマクロナウイルスが登場した。
死亡者数26380(病院16642人 EHPAD 9738人)入院者数22569(重態2776人)
飛幡祐規(たかはたゆうき)
第69回・2020年5月14日掲載
監禁日誌11 マクロナウイルス、いつ終わるの?
5月11日からフランスはロックダウンが解除され、パリなどまだウイルスが出回っている赤ゾーンでも経済活動(レストラン、カフェなど以外)と幼稚園・小学校が「ソーシャル・ディスタンス」をとりながら再開された。今回で「監禁」日誌は一応終わりにする。
●5月4日(月)
49日目。混乱はますます深まる。今日、政府のロックダウン解除法は元老院で否決された(保守が過半数、マクロン党員はほとんどいない)が、元老院の採決より国民議会が上だから何も変わらない。公共交通機関連合は「ソーシャル・ディスタンスなどロックダウン解除の条件を満たすと、利用者の受け入れキャパは1〜2割になる。それをオーガナイズするのは不可能」とフィリップ首相に書簡を出した(4月30日)。パリなどイルドフランス地域圏の市長329人は日曜、赤ゾーンの地区では学校再開を延期するように大統領に要請した(マスクその他の防護体制を整えるのが難しいから)。たとえばパリでは、13000人の学童の受け入れ(10%)が限度だとパリ市の教育担当は言う。今日、学校再開は5月14日(3日間の延長)とパリ学区は告知したが、7月4日までの7週間、「少人数で親の判断に任せ」、つまり毎日通うわけでもなく、給食も出せない状況では、学校の機能は果たせない。
マスクに関しては、案の定というか嘆かわしいというか、宣伝をしたハイパーに人々が殺到して、あっという間に売り切れたという。近所の薬局はどこも相変わらずマスクなし(高いだろうから買わないが)。スペインでは交通機関に乗る人で持っていない人に無料で配布、イタリアのトスカーナではサージカルマスク1日1枚分が無料で配布されるそうだ。そういえば昨日、近所に住む友人に道で出会い、サージカルマスクをしていたのでどこで手に入れたか聞いたら、職場で1日1枚配給されるとのこと。パリ市が約束した一人2枚の無料布マスクは、どうなったのだろうか。
今日の夕方には、以前から予定されていた「なぜ原子力は気候を救わないか」の討論会がネットで行われた。グリンピース、脱原発網、気候アクション網の主催。原発推進国のフランスでは、「気候を救おう」という原子力推進派のNPO(ノーベル賞科学者や著名な科学者が後援)があるほど、原子力はクリーンなエネルギーという誤解が根強い。若い層でもそれを信じる人が多いので、こういう企画が必要とされる。
今日のル・モンド紙にBNPパリバ銀行、トータル石油、サンゴバン、エールフランス、エアバス、ダノン、LVMHなど大企業の社長90以上、フランス企業連合までが署名した「経済復興の中心に環境を」というグリーンウォッシングの声明が掲載された。「グリーンでインクルージヴな(社会的措置も包括した)景気刺激策」などと、きれいごとというか嘘八百というか、盗人猛々しい。マクロンも得意なこうしたニュースピーク(好ましいイメージをうえつけるための意味のない言葉)に騙される人がいるのは信じがたいが、これがメディアに流布され通用してしまうのが、哀しい現実である。
死亡者数25201(病院15826 EHPAD 9375人)入院者数25548(重態3696人)
●5月5日(火)
50日目。14世紀のペストのときのquarantaine(40日間)「検疫」期間をとっくに過ぎても、ひとたび出回ってしまったウイルスはなかなか消えないようだ。
パリ市が約束したマスクだが、予定より枚数の供給が難しかったらしい。5月11日から薬局でひとり1枚(洗濯できる布製)無料で受け取れる原則。その日からネットで予約して(殺到してサイトが動かなくなるだろう)引換券を得て、薬局に取りに行くシステムでまず50万、それから35万枚用意されるというが、ゲットするのが大変そうーーパリの人口は220万以上だから足りないし。その他に、各区長が高齢者や人道援助などに関わる人々に配る分が50万枚、でもこれは使い捨て。やはりしばらくは自家製でいくしかない。措置の不十分さと遅さに市議会の野党は抗議した。緑の党はイダルゴ市長の社会党とパリでは連合与党なのだが、「屈服しないフランス」(唯一の市議、ダニエル・シモネ)と同じく無償で配るべきだと主張した。シモネは「ハイパー・スーパーの在庫を徴用して無償で配給せよ」と言っている。総合スーパーが政府より巧みにマスクをゲットして商売したことについては、医療スタッフに限らず人々の反感は大きい。マスクの恨みは後にどういう形で現れるだろうか?
さて、新型コロナウイルスの感染爆発はヨーロッパではイタリア、スペイン、フランス、ベルギー、続いてイギリスの順に医療危機に陥り、数多くの死者を出している。感染発生地から離れた国々はそれを見て体制を整える時間があったので、早くから国境封鎖やロックダウンなどの措置をとることができた。その一つの例がポルトガルで、ヨーロッパの南西端、地続きの国境はスペインだけという地理的要素が幸いして、感染が始まる時期が遅かった。そして、最初の死者が出た3月14日より前にロックダウンを決めた。
ポルトガル人経済学者のインタビューを聞いて興味深かったのは、国が早くからマスクなど防護用品の在庫を増やすために注文したほか、繊維産業の縫製工場が自発的にマスクの製造体制を作ったことだ。また、国はPCR検査の製造にもすぐ取りかかり、国内にない材料をすぐ注文したという。ポルトガルの人口に対する検査数は100万人中現在44000人以上でスペイン、ベルギー、イタリア、スイス、ドイツより多い。ポルトガルの死者は1047人で24時間以内の新たな感染は200人以下、感染者数全体も検査数が多いのに少ないから、感染の抑制は成功したケースといえるだろう。https://www.worldometers.info/coronavirus/
現在のポルトガルは、社会党に二つのラディカル左翼(ブロコとCDU:緑の党と共産党などの連合)からなる左派の連合政権で、公衆衛生緊急事態令を出したが、厳しい取り締まりはないという。6か月間の解雇禁止の政令を出し、また非合法滞在の労働者に滞在許可を出して、全住民が医療を受けられるようにした。しかし、2011年〜2015年、ポルトガルはEUから厳しい緊縮と構造的改革(ネオリベ政策)を強制されて公共サービスが弱体化した上、トゥーリズムにたよる国なので、経済への大きな打撃が懸念されるという。自国が受けた経験からEUに連帯はないと経済学者の彼女は言う。今後、コロナの打撃が大きいイタリア、スペイン、フランスなど南ヨーロッパは大きな経済危機になるだろうが、現在のEUの動きからは連帯は期待できない。
死亡者数25531(病院16060人、EHPAD 9471人)入院者数24775人(重態3430人)
●5月6日(水)
51日目。ロベスピエールの誕生日、彼は北部のアラス市で生まれた。芸術新潮の取材でこの町を訪れた時、歴史オタクの編集者が「ロベスピエールの生家が見たい」と付き添いの地域観光局の人に頼んだら、気が進まない感じで「パリに行く前に住んでいた家」の前に連れて行ってくれた。でもこんなにミュージアムやら「著名人ゆかりの家」とかが好きなフランスなのに、ロベスピエールの家は全く軽視されている。2016年にやっとアラス市がミュージアムにすることを決めて、2021年に向けて企画中とのこと。
さて、今日はマクロンが文化関係で働く人々に向けて「文化計画」を発表。映画・演劇・音楽関係などで働くアーティストや技術者の失業保険の権利を2021年8月までの延長(詳しくは複雑なので省くが、アーティストたちが要求したことを保証)を約束したので、まあみんなホッとしただろう。ドヌーヴやアジャーニなどスターも署名したからだろうか。そして、小さな美術館や図書館、メディアテーク、本屋、ギャラリーは5月11日から再開(でもパリは赤ゾーンが続きそうだから、学校と同じでどう対応するのか?)このマクロンのスピーチ、流れたビデオを見ると(特にロビンソン・クルーソーを引用するあたり)彼は興奮状態で完全にいっちゃってる感じ・・・恐ろしいというか、うーむ。
一方、俳優のヴァンサン・ランドンはインターネット新聞のメディアパルトで、彼が書いた民主主義を再生するためのテキストを読んだ。マクロン政権の健康危機管理と大統領に権力が集中する第五共和政を厳しく批判し、富裕層(資産1000万ユーロ以上)に1〜5%を貧困層のために出させる措置(「ジャン・ヴァルジャン」と命名)、大統領を含む為政者をリコールできる権利、汚職の厳しい取り締まり(長い懲役)などを提案したもの。ランドンは社会派の映画で主役を演じたりしているが、マクロンの薄っぺらな狂気と対照的な渋い冷静さだ。 https://www.youtube.com/watch?v=EdZBZUN2t-4&feature=emb_logo
死亡者数25809(病院16237人 EHPAD 9572人)入院者数23983(重態3147人)
●5月7日(木)
52日目。11日からのロックダウン解除について政府の告知があった。これまでと同様、論理の一貫性が全く見えない決定だ。イルドフランス、北部、ブルゴーニュ・フランシュ=コンテ、グランテスト(つまり北東部)とマイヨット島は赤ゾーンで、期待したほど感染が減っていないと認めながら(Roの値がどのくらいに落ちたか、肝心な数字を示さないからわからない)、赤ゾーンでも小学校は開ける。違いは中学と公園を開けないことくらい。似た状況のイタリアとスペインは9月まで開校しないことに決めたのに、幼稚園と小学校を何が何でも開校するのは、親が通勤できるようにするため以外に理由は考えられない。その証拠に、解除担当のカステックスは「高校生は大丈夫だが小さい子はひとりにさせられない」と言ったのだ。おまけに自治体、とりわけ親の選択(選択できない人もいるから責任を押しつけているだけだ)に任せて、1クラスに幼稚園は10人まで、小学校は15人までしか受け入れられない(幼稚園・小学校児童670万人中、来週は100万人の受け入れを予定)。教育面で一体何ができるだろうか?衛生面が保証されるだろうか?
ウイルスがまだ出回っているパリなどで、公共交通機関(現在30%)を7割まで増やし、しかし「ソーシャル・ディスタンス」を保つために利用者は15%に抑えたい(現在6%)という。そのためマスクは義務で、着用しないと135ユーロの罰金、しかしマスクは有料だ。通勤時間帯は雇用者の証明書を持たない人も罰金だそうだが、罰金切符を切るよりまず、どうやって乗客の交通整理をするのか?
首相や何人かの大臣による解除告知の記者会見と同時に、国民議会では健康緊急事態令延長についての討議がされていたが、メディアはほとんどそれを報道しない。国民議会では野党少数派は参加できる人数をさらに減らされた。「屈服しないフランス」はマスクの無償化、交通機関の無償化、公共薬品局の設置など17の修正案を提出したが、委員会で「受理できない」と討議さえできずに却下された。法令には緊急の社会援助措置もない。ロックダウン解除の内容に人々が混乱している隙に、自由の制限や監視強化など強権的な体制が進んでしまいそうなのが恐ろしい。解除後、集会は10人まで。でも今後はマスクをつけても(顔を覆っても)合法というわけだ(これまでは催涙ガス用のマスクを取り上げられた)。
そういえば、もう表に出てこなくなった「科学評議会」の免疫学者は、今の状態で解除すると集団免疫はないから感染が広がって再び外出禁止、それが繰り返されると言っている。制限を緩めたドイツではRoが1になって感染が増えたそうだ。そういうことを解除を告知するときにちゃんと言うべきだろう。
死亡者数25987(病院16386人、EHPAD 9601人)入院者数23208(重態2961人)
●5月8日(金)
*「公共病院万歳 私たちの健康は商売ではない」
53日目。5月8日は祝日、第二次大戦の終戦記念日(ヨーロッパにおけるナチスへの勝利)だ。パリ解放は前年1944年8月19-25日だが、パリ解放の内部レジスタンスの指揮をとったアンリ・ロル=タンギの妻セシールが今日101歳で亡くなった。彼女もレジスタンスにタイピストや連絡員として参加し、ダンフェール・ロッシュフォールの地下の司令部にいた。
さて、5月6日に、エコロジストのニコラ・ユロ(マクロン政権の環境大臣を辞任)がコロナ危機後の世界のための100の提起「・・・のときが来た」という文章をル・モンド紙に発表して話題になった。彼は、この政府では自分が考えるエネルギー移行など環境政策をまともにできないと言って2018年の8月末に辞任した。元タレントで知名度が高く人気のある人なので、シラクの時代から政治家に対して大がかりな環境政策を訴えているが、それをやるには現在の生産・消費システム、経済論理を本気で変えなくてはならないため、どの政権も口先だけで何も変わらない。今回ユロの100の提起は美辞麗句というかあまり内容がないが、さらに「5つの提案」と称して、安定・成長協定の見直しなどEUの抜本改革、環境保護に基づく貿易(自由貿易協定の拒否)、世界の他の地域に移転させた産業・農業を国内・EU内に戻すなど、よりラディカルな内容も掲げている。環境NGOや「屈服しないフランス」がこれらの政策を主張しても相手にされないが(この8週間に、コロナ危機後の社会変革について多くの提案が発信されたが、テレビ・ラジオでは大きな話題にならなかった)、今回のユロの提言はどれほど効果があるだろうか。ちなみに、賛同者にはヴァンダナ・シヴァなど国際的環境活動家のほか、女優のマリオン・コティヤールやジュリエット・ビノッシュ、歌手のヴァネッサ・パラディ、写真家のセバスチャン・サルガドやデザイナーのアニエスbなども並んでピープルの豪華キャストというか・・・グローバル大企業や不要で有害な開発業者に対して、「パリ協定に従わないなら国の援助金を出さない」程度で立ち向えるのか疑問だが、抜本的な社会変革政策の内容がもっと大勢の人に知られるようになり、賛同が増えていくことを願いたい。
死亡者数26230(病院16497人 EHPAD 9733人)入院者数22724(重態2868人)
●5月9日(土)
54e jour de confinement où l'on voit de plus en plus de masques dans la rue et préfère des masques "maisons".
54日目。町行く人に水色のサージカルマスクをつけている人がぐんと増えた。スーパーとかで買ったのだろうが、1枚60サンチームくらいするらしい。近所の薬局で売っているところは少なく、布マスクの作り方を貼り出した薬局もある(写真)。薬局の布マスクは5ユーロもするそうで(洗えるけど)、買った友だちは出来が悪いから自分で改造すると写真を送ってくれた。うちの家族内でもそうだが、友だちと電話でも「馬鹿げてとんでもないスキャンダルの、高くて醜いマスク(使い捨てのサージカルマスク)なんて買いたくない。公共交通機関や学校で義務なら無償であるべき」という立場で、自家製布マスクでいく。自家製布マスクの人たちはみんな布や形が違うから、ほんの少しは個性的だ。マスク・スキャンダルについてのル・モンド紙の記事をやっと入手した(定期購読してないので)。衝撃的だが、ちょっと時間がないので明日に回す。
今日はリベラシオン紙に載ったフランソワ・リュファンのインタビューの紹介を少し。このコロナ危機で示された政権の失策、嘘、戦略を立てられない無能さなどはすべて、マクロンやフィリップ首相に限らずここ30年来、財政省から政治を行ってきた者たちの(思想)学派の失敗を表していると彼は言う。マスクの製造さえできないこの連中には、農業や産業の変革やエコロジー政策などイデオロギー的にも心理的にもできないと言い切る。また、特にマクロンはグローバリゼーションを「狂気」とまで表現して、コロナ後の世界は以前とは違うと期待を持たせたが、みんなすぐ表現が変わって経済危機や負債の脅威を言うようになったと指摘する。そして、この危機が違う世界をつくるチャンスだと感じた人が多くても、元どおりどころかさらにひどいことになる危険が大きいと言う。時が来た(昨日の日誌参照)と言うだけでは何も到来せず、左翼とエコロジスト、大衆と中産層が力を合わせて闘わなければこの機会を逃してしまうと。リュファンはブリュノ・ラトゥールの表現も引用していたが、ラトゥールがコロナ危機について3月末に書いたテキストの翻訳をちょうど終えたところだった。5月中旬以降にウェブマガジンrealkyotoに掲載される予定。
死亡者数26310(病院16573人 EHPAD 9737人)入院者数22614人(重態2812人)
●5月10日(日)
*左は「病院のスタッフを支持」右に「マクロナウイルス、いつ終わるの?」
55日目。公式にはロックダウン最終日。土曜の晩に「健康緊急事態令」の7月10日までの延長が採決された。マスク無償をはじめ社会措置が全くない、感染者調査の過程で個人情報の保護が侵害される(スマホのアプリは引き下げられたが)などの理由で左派野党(社会党も含め)は反対したが、与党と多くの保守LRの議員は賛成した。
さて、明日5月11日からロックダウン解除だ。公共交通機関(メトロなど)の入り口でマスクを配ると言っているが、本当だろうか?なにしろマスクについては徹頭徹尾、嘘と支離滅裂な発言が続いたのだから。欠乏がわかってすぐ、自国でマスクを作ろうとは夢にも思わなかったほど、フランスのテクノクラートはマスクを軽蔑、マスクが嫌いなようだ。布マスクについても生地の種類や重量などが細かく指定され、業者が売るにはその規格検査が必要だ。
5月8日付ル・モンドの記事のスキャンダルの要点は、マクロンが政権を引き継いだ2017年に残っていた国の在庫7億枚強のサージカルマスクを、「有効期間切れ」と判断して担当曲は6億枚以上破棄し(中には湿気でダメになったものもあるが、使えるマスクも)、在庫の供給を一切しなかったことだ(10億枚以上必要)。そして、それが誰の責任なのか、国の機関と省の部署がいくつもあってよくわからず、歴代の大臣たちも誰も責任を引き受けない。FFP2マスクは病院などがそれぞれ在庫を確保することになっていた(これも行政決定で、誰も責任を引き受けない)が、国はパンデミック対策としてその在庫づくりを各地に確かめ、催促するのを怠ってきた。そしてもちろん、「節約」(予算削減)という強迫観念にかられた「管理」のせいもあるだろう。テクノクラート組織の破綻を示すスキャンダルだ。
スキャンダルといえば、「マクロナウイルス、いつ終わるの?」という垂れ幕を自宅の前に掲げた女性の家に警官が来て、彼女は短時間拘留されたという事件があった。警察による権力の濫用だ(国家元首を中傷しても罪にはならない、それにこれはユーモアが効いた言葉遊びの表現である)。それに憤慨し、連帯して自宅に「マクロナウイルス」のプラカードを掲げる人が続出したが、そのうち何人かが警官の訪問を受けたという。マクロン以前のフランスでは信じられない話だ。近所にもマクロナウイルスが登場した。
死亡者数26380(病院16642人 EHPAD 9738人)入院者数22569(重態2776人)
飛幡祐規(たかはたゆうき)