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『アジア記者クラブ通信』325号~パンデミックで儲けるのは誰だ ナオミ・クラインに聞く

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『アジア記者クラブ通信』325号(カラー・全50頁)
特集:惨事便乗型資本主義と新型コロナウイルス
※コロナウイルス特集3回連載の2回目です。
※本文の購読方法は末尾を参照願います。

■定例会リポート(2019年11月29日)

エクアドル、チリの民衆蜂起とショック・ドクトリン
所康弘(明治大学商学部教授)

 秋の米大統領選の行方が注目される2020年、南米では
ボリビアのやり直し大統領選が5月に実施される。ボリ
ビアでは昨年10月、米国が画策したクーデターで左派の
エボ・モラレス大統領が政権の座を追われ、アルゼンチ
ンに亡命。2019年のラテンアメリカは、チリやエクアド
ル、コロンビアでも新自由主義に反発する激しい民衆の
抗議活動が起こるなど、政権が揺るがされた。かつての
軍事独裁政権から民主化、新自由主義経済の波及といっ
た流れをたどってきたラテンアメリカに、どのような構
造的変化が生じたのか。2007年に刊行されたナオミ・ク
ライン著『ショック・ドクトリン』を踏まえ、明治大学
准教授の所康弘さんに、統計もまじえて新自由主義の展
開と民衆運動などについてうかがった。(編集部)

■COVID-19
パンデミックで儲けるのは誰だ
富裕層と大企業の被害を最小限に
惨事便乗型資本主義の手法とは
ナオミ・クラインに聞く

マリー・ソリス
VICEスタッフライター

 パンデミックの地球上での拡大は止まるところを知ら
ない。医療制度が発達していたはずの西側先進資本主義
国がいずれも新型コロナウイルスの感染拡大に医療シス
テムが機能不全に陥り、社会主義国キューバや中国の支
援を仰ぐ光景をわれわれは目撃している。本稿は、『シ
ョック・ドクトリン』の筆者であり、歴史が「ショック」
(戦争、自然災害、経済危機)とその余波の年代記で、
この余波の特徴こそ「惨事便乗型資本主義」だと説くナ
オミ・クラインへのインタビュー記録である。クライン
は、この惨事に便乗した資本主義の利潤行動の核心こそ、
進歩的政策の登場を阻むために開発された方策なのだと
語る。(編集部)


■COVID-19
なぜ「行動戦略ID2020」が危険なのか
WTOパンデミック宣言とワクチン接種計画
狙いは身分証明書の電子化を通じた世界支配

ピーター・ケーニッヒ
エコノミスト、地政学アナリスト

 WTOのパンデミック宣言のタイミングは遅かったの
か?トランプ大統領はWTOの組織運営が中国寄りだと
難癖を付け、欧米諸国では宣言の遅れが感染拡大を招い
たとWTOの責任を問う声も少なくない。本稿は、WT
Oや欧米の政治指導者が「上」からの命令に忠実に働き、
欧米の名だたる財団や財閥に加え「ビルダーバーグ会議」(「上」)が後押しする「行
動戦略ID2020」の計
画に沿ってパンデミック宣言が行われた経緯と世界を単
一管理しようと目論む暗黒街の存在を明らかにする。筆
者は、パンデミック宣言が3月12日に行われたのはこの
タイミングしかなかったからだと説明する。身分証明書
の電子化を大義名分にした「計画」の核心はワクチン接
種を通じてナノチップを埋め込み世界を管理することに
狙いがあるのだと筆者は告発する。(編集部)


■COVID-19
”大スポンサー“とズブズブの関係
報道されないWHO組織の闇に光を
巨大製薬会社、ビル・ゲイツ財団…

ウィリアム・エンダール
戦略リスクコンサルタント

各国政府は新型コロナウイルスをめぐり国内で高まる不
満を外に向けて発散させ、国内引き締めに使おうとして
いる。WHOも恰好の標的になった。米中対立、国際機関
での台頭が目立つ中国と台湾締め出し活動への反発も絡
んで複雑な動きが続く。筆者はワクチン製造などで手ぐ
すねを引いて待ち構える世界の大手製薬会社とWHO間の
金銭をめぐる関係、IT長者から転じて慈善事業家となっ
たビル・ゲイツ氏の活動の背景など、この国際機関の内
部腐構造の問題点を、長期的な視野でとらえながら事態
改善への道の模索を試みている。(編集部)


■COVID-19
中国にハイブリッド戦争仕掛ける帝国
北京は米国の脅威への対抗姿勢鮮明に
コロナで破綻を露呈させた新自由主義

ペペ・エスコバール
ジャーナリスト

 新型コロナウイルスへの対応を巡って米国による中国
への難癖としか取れない批判が収まらない。パンデミッ
クに至った責任を中国に帰す「武漢ウイルス」批判、
「ウイルスの発生をWTOに報告しなかった」、「ウイ
ルスの危険性を隠していた」とポンペオ国務長官が先頭
に立って矢継ぎ早に中国非難を繰り返している。本稿は、
2月のミュンヘン安全保障会議で王毅外相が公然と米国
の脅威に言及したことに着目し、中国が米国のウイルス
を巡る反中キャンペーンの意図を嗅ぎ取り、対抗の意思
を明確にした中米関係の分岐点だと位置づける。筆者は
パンデミックが深まる中で、新自由主義を駆動力として
いる資本主義の破綻が明らかになっても、完全な世界制
覇のために中国に対してハイブリッド戦争を続けたいと
思っているグローバルエリートの夢想を糾す。(編集部)


■COVID-19
「本当の病人」は西側社会ではないのか
コロナを利用した米国と同盟国の強権行使
緊急課題は人類としての協力再構築

アンドレ・ヴルチェク
調査報道ジャーナリスト

中国からアジア、ヨーロッパ、アメリカと拡大してき
た新型コロナウイルスをめぐり、主要7カ国(G7)は3月25
日にテレビ会合の形で外相会議を行った。ポンペオ米国
務長官が昨年以来の米中対立の延長線で「武漢ウイルス」
の呼称にこだわったため、国際的協力を強く呼び掛ける
はずだった共同声明はうまくまとまらなかった。トラン
プ流のツイート戦術に対抗するように、中国側から米軍
が持ち込んだ可能性を示唆する超立堅・外務省副報道局
長の書き込みも出て、泥仕合の様相を呈している。その
中で欧州共同体(EU)の自由往来原則が崩れるなど一人勝
手な移動規制など各国政府の強権化が進み、個人の人権
や生活権は無視され続けている。従来から資本主義の行
き過ぎと帝国化に警鐘を鳴らしてきた筆者が、感染症の
拡大に伴う問題点を哲学的に指摘する。(編集部)


■COVID-19
中国の隣国でコロナウイルス汚染排除は可能か
北朝鮮の「感染者ゼロ」めぐりさまざまな評価
新自由主義の侵入拒む自力更生論が足かせに

バーバラ・クロセット
独立系国連報道サイト記者

 朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)の新型コロナ
ウイルス感染者は本当にゼロなのだろうか? 爆発的に
感染が拡大した中国と1400キロを超える国境を接し、人
モノの往来を一斉に制限したとはいえ、奇跡は可能だっ
たのか。本稿は、長年の経済制裁でパンデミック対策に
必要な医薬品や医療機器が欠乏し、全ての住民に決して
十分な栄養が行き渡っているとは言えない朝鮮が実際に
感染を防いでいたのかに迫った検証記事である。筆者は
4月7日に米平和研究所が発表した共同論文『朝鮮:コロ
ナウイルス、ミサイル、外交』を念頭にコロナ危機が朝
米対話を促すきっかけになる可能性に言及する。(編集
部)


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