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Channel: 詩人PIKKIのひとこと日記&詩
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世に倦む日日 初動を検証せよ - 「健康で文化的な最低限度の生活」の大義を取り戻せ

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https://critic20.exblog.jp/31180114/#31180114_1
初動を検証せよ - 「健康で文化的な最低限度の生活」の大義を取り戻せ

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11日に放送された報道1930の中で、検査を拒否された58歳の男性が命を落とした悲痛な事例が紹介され、男性の娘が番組に当てて書いた手紙が読み上げられる場面があった。母親が泣きながら何度も保健所(相談センター)に電話をかけて検査をお願いしながら、断られ続け、それを見た父親は39度の高熱で苦しみつつ、「皆さんの迷惑になるからやめろ」と母親を窘めたと言う。結局、発熱後6日目に病院に搬送され検査で陽性が判明したときは、すでに重体で手遅れとなっていて、入院4日後に死亡。コロナ患者だから、家族は見舞いもできず、臨終に立ち会うこともできず、遺体を引き取ることもできず、即火葬されて遺骨の箱で帰っている。このところ死者数が一日10人とか20人で推移しているが、番組で報道されたような酷いケースが多いのだろう。保健所を介して検査と入院となった例は、ほとんどが重症になった最後の段階で手当てされている。


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コロナに罹った患者は、岡本行夫のような上級を例外として、基本的に医療を受けることを拒絶されていた。ネットでは、厚労省に対して遺族が集団訴訟を起こすべきだという声も上がっているが、今回の問題は、やはり薬害エイズ事件などと同じ性格と構造を持った事件であり、政府(専門家会議)による国民に対する不作為の犯罪であり、業務上過失致死が問われる案件だと思われる。重大で悪質な基本的人権の侵害が、政府行政によって国民に対して組織的・制度的に行われ、大量の人命が奪われ、多くの国民と医療従事者の心身が傷つけられた事件だ。9年前の福島第一原発事故の被害とも類似している。責任が問われずに済んでよいはずがなく、裁判にならずに終わってよいはずがない。われわれ一人一人を含めた被害者がこのまま泣き寝入りしてよいはずがない。4日間ルールというのは、厚労省・専門家会議が決めて施行した医療措置であり、国民の誤解だの何だのではない。そのような言い逃れが通用するはずがない。


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2月初旬の時点から、岡田晴恵ら検査拡大派の専門家は、ずっとテント形式の「発熱外来」の応急設置と増設を訴えていた。それは、それが10年前の新型インフルエンザ流行時の対策の柱であり、厚労省のガイドラインでマニュアル化された医療システムだったからである。韓国が2月から素早く始めた屋外の「選別診療所」はまさしく「発熱外来」であり、ドライブスルーやウォークスルーの検査所はそのカスタム版に他ならない。日本でも、当然、基本に則って発熱外来を各所に開設し、そこでPCR検査を大量に実施するべきだったし、テレビを見ながら、3月になれば発熱外来が地域に出現し、検査と隔離のシステムが全国に定着するものだとばかり思っていた。だが、2月24日に「見解」の名で専門家会議が出した政府方針は、その想定とは全く異なるもので、患者の「相談」を保健所の電話窓口に集め、37度5分以上の発熱を4日間自宅で耐え凌げと命ずる門前払いの対処だった。医療提供の義務の放棄だった。


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その政府方針では、検査については、「限られたPCR検査の資源を、重症化のおそれがある方の検査のために集中させる必要があると考えます」と言い、「必要とされる場合に適切に実施する必要があります」と述べている。ここで言う「必要とされる場合」とは、事実上、人工呼吸器を装着する必要のある重症者になる一歩手前の中等症の意味であり、中等症者をコロナ患者として確定するツールとしてPCR検査が位置づけられていた。それが3月時点の事実上の定義だったが、その後、患者の増加と共に大都市の病床が逼迫し、4月になると一段とハードルが上がり、重症者を搬送入院させて確定診断するときにのみに使用されるようになる。そして、報道1930で紹介されたような庶民の悲劇を次々と生んで行くことになる。2月の政府方針で、なぜこのような異常で倒錯した方針が採用されたのか、議論や詮索はあるが未だに真相は藪の中である。政府・専門家会議は今でも自らの誤りを認めていない。


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反省せず、責任を認めず、誤った対策決定に至った過程を証拠づける議事録を公開しようとしない。相談を保健所に集中させることを告げた時点で、NHKは、電話が繋がるのに2時間はかかると堂々と言っていた。極力、電話させないように、検査を諦めさせるように、自宅で耐えることで平癒させるように仕向け、政府側の不作為の意図を示唆していた。電話が繋がっても、帰国者との接触がどうのこうのと無理な条件を並べ、難癖をつけ、対応を拒否し、冷酷にたらい回しにする措置が実行され、実際、3月4月は電話相談の95%が検査を拒絶されている。システムの設計に明らかに問題があり、基本的人権の侵害や医療倫理の破戒と逸脱があり、このオペレーションを展開すれば確実に上記の58歳の父親と家族の悲劇を生む構造のものだった。だけでなく、症状を訴える95%をはじくために、市中感染を野放しにし、家族感染を増やして感染拡大を助長するだけの日本独自システム(無検査主義)だった。どのように考えても、この対策システムでコロナを防疫する合理的な成果を得られるはずがない。


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昨日(12日)の報道の主役は、富士レビオが開発した抗原検査キットが承認されて普及するというニュースだった。どの番組もトップに持ってきて、「ゲームチェンジャー」の登場などと言って宣伝していた。これは、言うまでもなく厚労省からのダウンロードである。いったいこれまで幾つ、この手の従来のPCR検査に代わる期待の新星がテレビ報道に登場し、わが国独自技術の触れ込みで喧伝されてきたことだろう。長崎大とキャノンが開発したLAMP法検査という方式があった。横浜市立大開発の抗体キットという製品があった。島津製作所の検出試薬キットでは工程を1時間に短縮すると言われて活躍を期待された。富士フィルムも4ー6時間かかる検査時間を75分に短縮する試薬を開発して発表した。だが、いつまで経っても、PCR検査時間は6時間のままであり、安倍晋三が1日2万件に増やすと言って1か月経つのにPCR検査は1日1万人止まりであり、日本の検査能力は遅々として増強されることがない。


初動を検証せよ - 「健康で文化的な最低限度の生活」の大義を取り戻せ_c0315619_15064950.png多少の想像力と政治センスのある者なら、厚労省がマスコミに撒かせている撒き餌の意味に気づくだろう。煙幕だ。厚労省・安倍官邸は、PCR検査体制の拡充などそもそもする気がなく、フリとゴマカシだけであり、だからこそ補正で検査体制を整備する予算は積んでないのである。テレビ報道で言われている医師会の「PCR検査センター」も同じだ。実際、どれだけの検査が輪番制のセンターで行われているか疑問である。テレビで流されているPCR検査センターの映像は、マスコミ撮影用のデモの絵であり、それが紹介されたときも、各区で特設されたセンターの検査件数は1日10件ほどの予定などと説明されていた。エクスキューズの演出装置であることが見え見えだった。おそらく、現在、検査の主力は依然として保健所・衛生研のルートのままで、PCR検査センターと民間検査会社がこなす量は微々たるものだろう。最近の新規感染者数の減少と共に、むしろPCR検査センターは縮小の方向に向かい、岡田晴恵が常套句にしている「夏の間に準備して下さい」とは逆の事態になると予想される。


PCR検査センターを発案したのは医師会であり、医師会常任理事の釜萢敏は専門家会議の主要メンバーで、尾身茂の隣に座っている。PCR検査抑制論の首魁の一人であり、この男が検査を増やす意思などないことは一目瞭然である。政府・専門家会議は、一貫して検査抑制の基本方針を維持しており、嘗ての「国体護持」のように強烈に固守している。第二波が来たときは、4月と同じ悲劇と惨状になるだろう。政府・専門家会議の初動を検証する必要がある。


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