『アジア記者クラブ通信』324号(カラー・全36頁)
特集:新型コロナウイルスと米国製造説
※本文の購読方法は末尾を参照願います。
■COVID-19
ウイルスは恐慌を招くのか
中国の失速が世界に波及
すでに米国経済は崩壊寸前
ウィリアム・エングダール
戦略リスクコンサルタント
悪いことは重なるものだ。コロナウイルスの感染拡大は、トランプ大統領の「米国のウイルス対策は万全だ」という大統領選向けの口上とは裏腹に深刻な兆候を幾つも示している。2月下旬からNYダウの大幅な乱高下が続き、このコロナウイルスの感染拡大による株式市場の混乱が12年前のリーマンショックを上回る株価暴落を引き起こすのではないかと市場関係者を戦々恐々とさせている。
本稿は、ウイルスの感染拡大前から米国が最大の産出量を誇っていたシェール石油最大の顧客である中国への輸出が下降の一途をたどっており、商品の出荷減少が物流の大動脈であるトラック業者を直撃して大型倒産も発生させ、天候不順と中国市場への輸出停滞が米国農業に致命的打撃を与えつつある現状を踏まえ、連邦準備銀行によって維持されてきた米国の株価の異常な高騰が霜柱の上に立っていたことを改めて明らかにする。
筆者は、2003年のSARSの感染拡大時とは比較にならないくらいグローバル化された中国経済が世界各国の経済と深く結びついているいま、コロナウイルスによって世界大恐慌が引き起された場合の衝撃の大きさに無頓着な金融市場を指弾する。(編集部)
■COVID-19
生物細菌兵器説を追う
中国への宣戦布告なき戦争
伝染病研究を表看板に
ヴィクトル・ミヒン
ロシア自然科学アカデミー
ニューデリーのジャワハルラール・ネルー大学のアーナンド・ラン
ガーナサン分子生物学教授らによる中国発の新型コロナウイルスが生
物細菌兵器として考案され使用された可能性に言及する研究発表は大
きな真贋論争を引き起こしている。本稿は、この論争を切り口にして、
CIS・独立国家共同体(旧ソ連邦加盟国)内で行われている米国の
伝染病研究を名目にした生物細菌兵器部門の創設を目論む米国の諸政
策とベトナム戦争での生物化学兵器を使用との関連性にも踏み込みな
がら、生物細菌兵器として新型コロナウイルスが中国を標的に開発さ
れたとするロシアの立場を反映した論考になっている。筆者は、スク
リパリ事件を引用しながら「ロシアなら大いにありそう」という戦術
が中国に適用されているとの説に立つ。(編集部)
■COVID-19
コロナウイルスは米国製か?
知られざる細菌戦争の舞台裏
生物兵器の対中投入の目的は
ピーター・ケーニッヒ
エコノミスト、地政学アナリスト
2019年12月に中国湖北省武漢市で発生が報告された新型コロナウイ
ルス (COVID-19)は3月13日、世界保健機関(WHO)によってパンデミック宣 言が表明された。本稿はマスメディアによって、COVID-19が中国で動物を 介して感染拡大したとの推測からその責任が中国に
あるとの批判が展開され ていることに対して全面反論する内容にな
っている。
COVID-19が米国製で あるか否か感染源を巡って、ポンぺオ国務長官と中国外務省との論戦に発展 しているのは周知の通りである。
筆者は、米中貿易戦争と並行して細菌戦争 が2018年の鳥・豚
インフルエンザの感染拡大からすでに始まっており、今回 の新型コ
ロナウイルスの感染拡大も昨年10月の武漢軍事五輪でウイルスが持ち
込まれたことで発生したと説く。米国は対中戦争に至る前に可能な限
り多くの経済的打撃を中国に与え、中国の経済 成長によりドルから
人民元への基軸通貨の転換が進むことを阻止したいからだと筆者は米
国の狙いを説明する。(編集部)
■COVID-19
ウイルスは米国製か中国製か
中国の研究者は起源を特定
台湾の専門家は米国産を示唆
ラリー・ロマノフ
復旦大学客員教授
新型コロナウイルスの起源を巡って3月上旬から米中間でつばぜり
合いが続い ている。ポンぺオ国務長官が「武漢ウイルス」、トラン
プ大統領が「中国ウイルス」 との呼称を用いて中国を挑発し、オブ
ライエン大統領補佐官も「中国が初期対応 の段階で情報を隠蔽して
世界の対応が遅れた」との非難を展開したことを受けて、中国外務省
の趙立堅副報道局長がツイートで「米軍が疫病を武漢に持ち込んだ」
と中国語と英語で発信したからだ。
本稿は、この非難の応酬の前に、
既に中国 の専門家が4大陸12か国から約100のゲノムサンプルを集め
て分析した結果か ら、新型コロナウイルスの感染が海産物や動物か
らではなく、ウイルスの起源と 伝播ルートが海外からであることを
突き止めていたことを明らかにする。
筆者は、 台湾最高のウイルス
学者が台湾で感染しているウイルスの株の特徴から米国にしか存在し
ないタイプであることを掴んでいることを踏まえ、既存メディアが決
して触れることのない米国による「ウイルス」 を利用した中国叩き
の核心に迫る。(編集部)
■COVID-19
反中でさえあれば米と全面協力する日本
日常を支配するワシントンへのおもねり
再教育プログラムが民衆の怒りを鎮静化
アンドレ・ヴルチェク
調査ジャーナリスト
パンデミックが拡大する中で4月の習近平国家主席による12年ぶり
の国 賓来日も延期が発表された。昨年のG20以来、中国政府は「中
日関係は正 常化した」との見解を繰り返し、新型コロナウイルスが
感染拡大する中でも両 国の協力体制が進展していることを強調する
ことで、両国関係の好転を演出し てきた。
ところが日本側では、新聞テレビは相変わらず中国の「海洋進出」を 脅威と捉え、政権運営のみならず、新型コロナウイルス感染拡大阻止への強 制措置ですら「強権的だ」として、反中報道を繰り返してきた。
本稿は、中国 と朝鮮への無反省がなぜ日本でまかり通るのか、ワシントンの意向に日本は なぜ徹底して従順に従うのか、代替ニュースが存在しないために日本人の世界 認識がいかに歪んでいるのか、反中プロパガンダが溢れる日本をつぶさに観察してきたジャーナリストによる立板解説である。筆者は、日本を地球上で唯 一の植民地支配者のイデオロギーを賛美している国だと断じている。(編集部)
■COVID-19
中国包囲の「逆ドミノ現象」を懸念する米国
フィリピンの訪問軍地位協定の破棄で
フィニアン・カニンガム
ジャーナリスト
ややもすれば突拍子もない気まぐれ発言だと欧米や日本の大手メ
ディアか らたたかれることが多いフィリピンのドゥテルテ大統領
だが、米国嫌いと対中 関係強化姿勢を就任以来貫いている。2月に
は訪問軍地位協定の破棄手続き を米国に通告した。フィリピンは
19世紀末に米西戦争でスペインから統治権 を得た米国の統治下に
入り、第2次大戦中は日本が占領、戦後再度の米統治 時代を経て
1946年に独立した。朝鮮戦争中の1951年に米国と相互防衛条 約を
締結、対共産圏封じ込め網の一翼を担った(日米安保条約51年、
米韓 相互防衛条約53年、米華相互防衛条約54年も同列)。この下
に、日韓の 場合の対米地位協定に当たる軍訪問軍地位協定、ベト
ナム戦争が終わり米軍 が撤退した後の2014年4月に結ばれた比5基
地に米軍の兵舎や武器を維 持できる防衛強化協定を米国と結んで
いる。
軍訪問地位協定は6カ月後に正 式破棄となるが、フィリピ
ンのパネロ大統領報道官は比米相互防衛条約、防 衛協力強化協定
も終結することになるだろうと言明した。比米相互防衛条約 は、
両国の領域だけでなく「太平洋上の管理下の島、太平洋地域にお
ける軍艦、 公船もしくは航空機に対する武力攻撃に抵抗する」と
規定しているだけに、南シナ海での米中対立を激化させる要因と
なる可能性がある。
日本の沖縄、米領グアム、オ―ストラリアの
ダーウィンも、有事の際の南シナ海への米軍派遣と兵 站中継地と
しての役割変更を迫られる場合もあろう。(編集部)
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特集:新型コロナウイルスと米国製造説
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■COVID-19
ウイルスは恐慌を招くのか
中国の失速が世界に波及
すでに米国経済は崩壊寸前
ウィリアム・エングダール
戦略リスクコンサルタント
悪いことは重なるものだ。コロナウイルスの感染拡大は、トランプ大統領の「米国のウイルス対策は万全だ」という大統領選向けの口上とは裏腹に深刻な兆候を幾つも示している。2月下旬からNYダウの大幅な乱高下が続き、このコロナウイルスの感染拡大による株式市場の混乱が12年前のリーマンショックを上回る株価暴落を引き起こすのではないかと市場関係者を戦々恐々とさせている。
本稿は、ウイルスの感染拡大前から米国が最大の産出量を誇っていたシェール石油最大の顧客である中国への輸出が下降の一途をたどっており、商品の出荷減少が物流の大動脈であるトラック業者を直撃して大型倒産も発生させ、天候不順と中国市場への輸出停滞が米国農業に致命的打撃を与えつつある現状を踏まえ、連邦準備銀行によって維持されてきた米国の株価の異常な高騰が霜柱の上に立っていたことを改めて明らかにする。
筆者は、2003年のSARSの感染拡大時とは比較にならないくらいグローバル化された中国経済が世界各国の経済と深く結びついているいま、コロナウイルスによって世界大恐慌が引き起された場合の衝撃の大きさに無頓着な金融市場を指弾する。(編集部)
■COVID-19
生物細菌兵器説を追う
中国への宣戦布告なき戦争
伝染病研究を表看板に
ヴィクトル・ミヒン
ロシア自然科学アカデミー
ニューデリーのジャワハルラール・ネルー大学のアーナンド・ラン
ガーナサン分子生物学教授らによる中国発の新型コロナウイルスが生
物細菌兵器として考案され使用された可能性に言及する研究発表は大
きな真贋論争を引き起こしている。本稿は、この論争を切り口にして、
CIS・独立国家共同体(旧ソ連邦加盟国)内で行われている米国の
伝染病研究を名目にした生物細菌兵器部門の創設を目論む米国の諸政
策とベトナム戦争での生物化学兵器を使用との関連性にも踏み込みな
がら、生物細菌兵器として新型コロナウイルスが中国を標的に開発さ
れたとするロシアの立場を反映した論考になっている。筆者は、スク
リパリ事件を引用しながら「ロシアなら大いにありそう」という戦術
が中国に適用されているとの説に立つ。(編集部)
■COVID-19
コロナウイルスは米国製か?
知られざる細菌戦争の舞台裏
生物兵器の対中投入の目的は
ピーター・ケーニッヒ
エコノミスト、地政学アナリスト
2019年12月に中国湖北省武漢市で発生が報告された新型コロナウイ
ルス (COVID-19)は3月13日、世界保健機関(WHO)によってパンデミック宣 言が表明された。本稿はマスメディアによって、COVID-19が中国で動物を 介して感染拡大したとの推測からその責任が中国に
あるとの批判が展開され ていることに対して全面反論する内容にな
っている。
COVID-19が米国製で あるか否か感染源を巡って、ポンぺオ国務長官と中国外務省との論戦に発展 しているのは周知の通りである。
筆者は、米中貿易戦争と並行して細菌戦争 が2018年の鳥・豚
インフルエンザの感染拡大からすでに始まっており、今回 の新型コ
ロナウイルスの感染拡大も昨年10月の武漢軍事五輪でウイルスが持ち
込まれたことで発生したと説く。米国は対中戦争に至る前に可能な限
り多くの経済的打撃を中国に与え、中国の経済 成長によりドルから
人民元への基軸通貨の転換が進むことを阻止したいからだと筆者は米
国の狙いを説明する。(編集部)
■COVID-19
ウイルスは米国製か中国製か
中国の研究者は起源を特定
台湾の専門家は米国産を示唆
ラリー・ロマノフ
復旦大学客員教授
新型コロナウイルスの起源を巡って3月上旬から米中間でつばぜり
合いが続い ている。ポンぺオ国務長官が「武漢ウイルス」、トラン
プ大統領が「中国ウイルス」 との呼称を用いて中国を挑発し、オブ
ライエン大統領補佐官も「中国が初期対応 の段階で情報を隠蔽して
世界の対応が遅れた」との非難を展開したことを受けて、中国外務省
の趙立堅副報道局長がツイートで「米軍が疫病を武漢に持ち込んだ」
と中国語と英語で発信したからだ。
本稿は、この非難の応酬の前に、
既に中国 の専門家が4大陸12か国から約100のゲノムサンプルを集め
て分析した結果か ら、新型コロナウイルスの感染が海産物や動物か
らではなく、ウイルスの起源と 伝播ルートが海外からであることを
突き止めていたことを明らかにする。
筆者は、 台湾最高のウイルス
学者が台湾で感染しているウイルスの株の特徴から米国にしか存在し
ないタイプであることを掴んでいることを踏まえ、既存メディアが決
して触れることのない米国による「ウイルス」 を利用した中国叩き
の核心に迫る。(編集部)
■COVID-19
反中でさえあれば米と全面協力する日本
日常を支配するワシントンへのおもねり
再教育プログラムが民衆の怒りを鎮静化
アンドレ・ヴルチェク
調査ジャーナリスト
パンデミックが拡大する中で4月の習近平国家主席による12年ぶり
の国 賓来日も延期が発表された。昨年のG20以来、中国政府は「中
日関係は正 常化した」との見解を繰り返し、新型コロナウイルスが
感染拡大する中でも両 国の協力体制が進展していることを強調する
ことで、両国関係の好転を演出し てきた。
ところが日本側では、新聞テレビは相変わらず中国の「海洋進出」を 脅威と捉え、政権運営のみならず、新型コロナウイルス感染拡大阻止への強 制措置ですら「強権的だ」として、反中報道を繰り返してきた。
本稿は、中国 と朝鮮への無反省がなぜ日本でまかり通るのか、ワシントンの意向に日本は なぜ徹底して従順に従うのか、代替ニュースが存在しないために日本人の世界 認識がいかに歪んでいるのか、反中プロパガンダが溢れる日本をつぶさに観察してきたジャーナリストによる立板解説である。筆者は、日本を地球上で唯 一の植民地支配者のイデオロギーを賛美している国だと断じている。(編集部)
■COVID-19
中国包囲の「逆ドミノ現象」を懸念する米国
フィリピンの訪問軍地位協定の破棄で
フィニアン・カニンガム
ジャーナリスト
ややもすれば突拍子もない気まぐれ発言だと欧米や日本の大手メ
ディアか らたたかれることが多いフィリピンのドゥテルテ大統領
だが、米国嫌いと対中 関係強化姿勢を就任以来貫いている。2月に
は訪問軍地位協定の破棄手続き を米国に通告した。フィリピンは
19世紀末に米西戦争でスペインから統治権 を得た米国の統治下に
入り、第2次大戦中は日本が占領、戦後再度の米統治 時代を経て
1946年に独立した。朝鮮戦争中の1951年に米国と相互防衛条 約を
締結、対共産圏封じ込め網の一翼を担った(日米安保条約51年、
米韓 相互防衛条約53年、米華相互防衛条約54年も同列)。この下
に、日韓の 場合の対米地位協定に当たる軍訪問軍地位協定、ベト
ナム戦争が終わり米軍 が撤退した後の2014年4月に結ばれた比5基
地に米軍の兵舎や武器を維 持できる防衛強化協定を米国と結んで
いる。
軍訪問地位協定は6カ月後に正 式破棄となるが、フィリピ
ンのパネロ大統領報道官は比米相互防衛条約、防 衛協力強化協定
も終結することになるだろうと言明した。比米相互防衛条約 は、
両国の領域だけでなく「太平洋上の管理下の島、太平洋地域にお
ける軍艦、 公船もしくは航空機に対する武力攻撃に抵抗する」と
規定しているだけに、南シナ海での米中対立を激化させる要因と
なる可能性がある。
日本の沖縄、米領グアム、オ―ストラリアの
ダーウィンも、有事の際の南シナ海への米軍派遣と兵 站中継地と
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