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Channel: 詩人PIKKIのひとこと日記&詩
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世に倦む日日 日本財団が設営する不気味な大型野戦病院 - 政府は医療崩壊を想定済み

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政府の緊急事態宣言について、WHOでテドロス事務局長の上級顧問を務める渋谷健司が、7日夜の日テレの報道特番のインタビューで率直に悲観的な感想を述べていた。発表するのが一週間遅かったと言い、その効果に厳しい見方を示していた。私も同感である。8割の接触を止めるということは至難の業だ。現時点でテレワークは2割の水準に止まっていて、依然として企業の従業員は電車で都心のオフィスに通勤している。休日は外出を控えて家にいるけれど、平日は都心に出る行動を止めておらず、これを8割まで高めるのは容易ではあるまい。

今、多くの企業がコロナ不況の直撃を受けて事業の危機に直面している。経営者は少しでも売上を落とさないよう営業を焦るし、従業員は解雇されないよう上司と会社に忠勤する動機づけになる。本当は自粛して休業したい、恐いから仕事を休みたいと思っていても、躊躇して横並びの態度になる例は多いだろう。


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加えて、モーニングショーの報道によれば、個人への行動の自粛要請は8日から開始だが、事業者への営業の自粛要請は2週間様子を見てから業種業態の具体的対象を決める方針になっているらしく、特措法に依拠した要請の半強制力は先送りされた形でルーズになっている。

番組に出演した田崎史郎は、経済活動の息の根を止めるわけにはいかないと強調していて、麻生太郎や今井尚哉が抜け穴を作った裏側が察せられる。小池百合子は網羅的な営業自粛の即時遂行を求めており、政府側と鬩ぎ合っていて、その中間に蝙蝠のような医師会がいる。本音ではなるべく広い店舗事業活動への厳しい自粛を必要として焦りながら、政治的に安倍晋三に忖度して顔色を窺っているのが医師会だ。給付金の問題も含めて、この緊急事態宣言の政策措置は設計が杜撰で、目的を達せられるとは思えない。玉川徹が批判しているとおりだ。


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緊急事態宣言は、客観的に、安倍晋三が支持率維持のアピールを目的にして行った政治の性格が強い。いつもの「やってる感」の演出パターンである。本気で感染爆発を避け、医療崩壊を阻止するために打った真剣な対策だとは評価できない。一方、政府・厚労省は日本財団に手を回して、つくばの辺鄙な山の中に巨大な隔離収容施設を整備させている。

日本財団の発表によると、約5万7千平方米の研究所跡地に9千床の施設を用意すると言う。9千床とは桁違いの規模だ。国内最大のベッド数の藤田医科大学病院でも1435床である。説明では、大型テントやコンテナハウスを並べるとあるから、通常の病院施設ではなく、明らかにコロナ対策に特化した臨時の大型野戦病院が企図されている。病院を一つ新設しようとすれば、病院法に基づく申請と認可の手続きがあり、複雑な書式と審査のプロセスがある。建築基準法の規制もある。開業まで何年もかかる。


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それらを全てすっ飛ばし、異次元の規制緩和でつくばの山の中に野戦病院が建つ。政府は、ここに9千人の首都圏のコロナ患者を収容する思惑なのだ。そのときは、夏だが、すでに首都圏の借り上げ諸ホテルが満杯状態になり、収容しきれなくなった大量の軽症者が自衛隊車両のピストン輸送で運び込まれるのだろう。

おそらく、つくば野戦病院の敷地内には大型の遺体安置所と火葬場が併設され、1日300人ほど出るであろう死者を、感染症法30条の規定に従って24時間以内に灰にする算段なのに違いない。遺骨が自衛隊の手で家族に届けられる。首都圏の下級国民は、こうして常磐道を通って終の棲家に行き、家族にも看取られないまま死に、灰になって常磐道を帰ってくるのだ。実際の運用と管理は自衛隊の手で行われるはずで、日本財団がそれほどの医師や看護師を持っているわけでもないし、施設が稼働する7月末には日本中で医師・看護師は逼迫しきっているだろう。


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東京から遠く離れたつくばの野戦病院は、敷地が広く外からは様子が窺い知れない。マスコミや野党の目も届きにくい。自衛隊が管理して立入禁止だから、医療施設というよりも軍の施設である。中でどのような処置が行われているか誰も分からず、どういうトリアージが断行されるかも分からない。運び込まれる患者は、公安警察のデータベースでフラグが立っている者 - 戦前でいえば特高のブラックリストに載っている者 - もいるだろう。また、常駐する自衛官の中には生物兵器の専門担当もいるだろう。

何やら森村誠一の小説世界が想像されて薄気味悪い。が、7月にこんな不気味な施設が実用投入されている頃には、東京市中も阿鼻叫喚の地獄図で、誰もつくばの山奥の出来事など注目していられない惨状になっていて不思議ではない。いずれにせよ、このような施設の計画が、緊急事態宣言と同時に国民に告知されること自体が、政府が3か月後の事態をどう想定しているかを如実に表している。


もし、安倍晋三が、緊急事態宣言の発動によって1か月後に感染拡大阻止を実現できると自信を持っているのなら、このような野戦病院の計画をわざわざ表に出す必要はあるまい。黙って粛々と準備すればいいことだ。この計画を出して見せたのは、国民に次の将来を予告するためであり、心の準備をさせ、破局の到来に対して精神的に先取りさせ、感覚を馴らすためである。病院の集中治療室だのは、庶民一般がありつける上等な医療環境ではないという認識と諦めを植え付けるためだ。


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この問題と関連して、気になるのは、今回のコロナウィルスの医療対処において、大阪方式とか、神奈川方式とかがマスコミで喧伝されている点である。地方自治体毎に医療サービスが異なり、うちはこうだというモデルが知事によって競争され自慢されている。その図に違和感を覚える。

東京都では、どうやら軽症者用の療養施設にビジネスホテルが転用されることが標準となり、自宅療養を強制される不安はなくなった。このことは、家族に感染を広げることを危惧した都民には朗報だろう。しかしそれは、埼玉県や千葉県でも同様の処置と施策になるのだろうか。他の県でも同じだろうか。憲法25条には、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と書かれている。公衆衛生と公的医療の権利はすべての国民に平等であるはずで、偏在や差別があってはならないはずだ。


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日弁連が1980年に発表した「『健康権』の確立に関する宣言」では、「健康に生きる権利は、憲法の基本的人権に由来し、すべての国民に等しく全面的に保障され、なにびともこれを侵害することができないものであり、本来、国・地方公共団体、さらには医師・医療機関等に対し積極的にその保障を主張することのできる権利である」と謳われている。

和歌山県ではPCR検査を受けられるのに大阪府では受けられないとか、東京都では借り上げホテルの個室療養なのに埼玉県ではスーパーアリーナの野戦病院ベッドだとか、そうした格差と不公平があってはならないはずだ。国(厚労省)が全国一律の医療基準を示し、検査はこう、隔離はこう、治療はこうと、誰もが同じ標準的な品質の医療サービスを受けられるように配慮しなくてはならず、国民の誰もが安心できるようにしなくてはならない。上級・下級の区別の懸念のないトランスペアレントな、また地域によって優劣のない、平等なコロナ医療の日本モデルが提示されなくてはならない。


どこまでも憲法25条の精神と医の倫理綱領に則って。そうでないと、あそこはいいな羨ましいなという屈折した心理になり、給付金の分断と不公平への不満と同じで、全国民が一丸となってのコロナとの戦いにはならないのである。

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