3月14日から公開されている映画の紹介です。昨今の新コロナウイルスの状況により、障害を持っている方の鑑賞を考え、インターネット配信も行っています。その情報は文末にあります。
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障害を持って自立するということ
『インディペンデント リビング』(田中悠輝 監督)
笠原眞弓
「障害者が運営している自立支援センター」があり、それをテーマにした映画があると聞いたとき、一体どんなところかとドキドキして、不安と興味が湧いてきた。
子どもも幼稚園に行くようになった40年くらい前から発達障害と肢体不自由児・者の水泳指導をしてきた。といっても、彼らの生活に深く入ることはなく「水の中で命を守る」のが第一歩で、今でも日々発見のスリリングな経験をしている。
そんなことから、この映画を見に行ったところ、知らないことばかりで、発見続きだった。
写真好きの介護者が、施設の人に映画を撮ってくれと頼まれ、3年位かけて作品に仕上げたとあるように、撮る人、撮られる人が日常的に接している関係性においての映像は、見ていて素直に入ってくるということが分かる。
大きなベッドのような車椅子の木村英子さん、舩後靖彦さんが国会議員になれる時代、そんな大きな車椅子の方がセンター長で、介護者の中にも、知的や身体の障害を持っている方がいる。見ている間は何の違和感もない。しかし、こんな重度の人の自立とは、結構リスクも高そうだ。それを押してまで自立したいとは、どういうことなのだろう。
スクリーンに次々現れる人は、みんな明るく前向き。夢宙センターのスタッフで人工呼吸器の女性大橋ノアさんは、「障害当事者リーダー」の勉強にアメリカへ留学する。それをしっかりとハグして送り出すセンター長の平下耕三さんと職員。そのハグに込められた想いの重さが伝わってくる。
若い元塾の先生“トリス”さんは、クモ膜下出血で高次脳機能障害。漢字はよく覚えてい
る。彼は、今やりたいことは?と聞かれて「俳優」と答える。周りの人は「オゝ」と声を上げ、次の瞬間作劇が始まり作品になった。誰のやりたいことも阻まず、否定せず、実現の方向に向かっていく態度に驚きを覚える。
夢宙センターで支援を受けていた渕上賢治さんは、自分で自立支援センター「ムーブメント」を立ち上げ「この仕事をするために頚損になったと思えるようになった」とサラッと言ってのける。
だんだん症状が重くなり、夜間の付き添いを視野に入れるようになった人が、きっぱりと拒否する。彼は「独りでいる時間が欲しい」と。「自立」って、自分の命を賭して独りでいる時間を確保することでもあると、気づいた瞬間だった。
98分/3月14より東京・ユーロスペースほか全国順次公開
追記:<映画『インディペンデントリビング』のインターネット配信>
障害を持つ方の新型コロナウイルス感染のリスクを軽減するため、映画館上映と同時にインターネット配信を急遽決定した。
■配信期間:3月14日(土)10時~4月3日(金)24時
■料金:1,800円
■配信先リンク:https://vimeo.com/ondemand/filmil
※ご購入から72時間(3日間)、パソコンやスマホ、タブレット等、複数のデバイスで視聴することが可能。
※クレジットカードでのご購入です。
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障害を持って自立するということ
『インディペンデント リビング』(田中悠輝 監督)
笠原眞弓
「障害者が運営している自立支援センター」があり、それをテーマにした映画があると聞いたとき、一体どんなところかとドキドキして、不安と興味が湧いてきた。
子どもも幼稚園に行くようになった40年くらい前から発達障害と肢体不自由児・者の水泳指導をしてきた。といっても、彼らの生活に深く入ることはなく「水の中で命を守る」のが第一歩で、今でも日々発見のスリリングな経験をしている。
そんなことから、この映画を見に行ったところ、知らないことばかりで、発見続きだった。
写真好きの介護者が、施設の人に映画を撮ってくれと頼まれ、3年位かけて作品に仕上げたとあるように、撮る人、撮られる人が日常的に接している関係性においての映像は、見ていて素直に入ってくるということが分かる。
大きなベッドのような車椅子の木村英子さん、舩後靖彦さんが国会議員になれる時代、そんな大きな車椅子の方がセンター長で、介護者の中にも、知的や身体の障害を持っている方がいる。見ている間は何の違和感もない。しかし、こんな重度の人の自立とは、結構リスクも高そうだ。それを押してまで自立したいとは、どういうことなのだろう。
スクリーンに次々現れる人は、みんな明るく前向き。夢宙センターのスタッフで人工呼吸器の女性大橋ノアさんは、「障害当事者リーダー」の勉強にアメリカへ留学する。それをしっかりとハグして送り出すセンター長の平下耕三さんと職員。そのハグに込められた想いの重さが伝わってくる。
若い元塾の先生“トリス”さんは、クモ膜下出血で高次脳機能障害。漢字はよく覚えてい
る。彼は、今やりたいことは?と聞かれて「俳優」と答える。周りの人は「オゝ」と声を上げ、次の瞬間作劇が始まり作品になった。誰のやりたいことも阻まず、否定せず、実現の方向に向かっていく態度に驚きを覚える。
夢宙センターで支援を受けていた渕上賢治さんは、自分で自立支援センター「ムーブメント」を立ち上げ「この仕事をするために頚損になったと思えるようになった」とサラッと言ってのける。
だんだん症状が重くなり、夜間の付き添いを視野に入れるようになった人が、きっぱりと拒否する。彼は「独りでいる時間が欲しい」と。「自立」って、自分の命を賭して独りでいる時間を確保することでもあると、気づいた瞬間だった。
98分/3月14より東京・ユーロスペースほか全国順次公開
追記:<映画『インディペンデントリビング』のインターネット配信>
障害を持つ方の新型コロナウイルス感染のリスクを軽減するため、映画館上映と同時にインターネット配信を急遽決定した。
■配信期間:3月14日(土)10時~4月3日(金)24時
■料金:1,800円
■配信先リンク:https://vimeo.com/ondemand/filmil
※ご購入から72時間(3日間)、パソコンやスマホ、タブレット等、複数のデバイスで視聴することが可能。
※クレジットカードでのご購入です。