「未知のものを既知のものに、分類可能なものにひきもどそうとする始末におえない狂癖が、頭脳をたぶらかしているのだ。分析欲が感情にうちかっているのだ。」
「私たちはいまなお論理の支配下に生きている。」
「きっぱりいいきろう、不可思議はつねに美しい、どのような不可思議も美しい、それどころか不可思議のほかに美しいものはない。」(アンドレ・ブルトン『シュルレアリスム宣言』)・・夢がその典型
「自分が自分の本の著者であるとは思わない、なぜならこれはシュルレアリスムの産物としか考えられないもので、署名している者の才能の有無の問題などはすべて排除されているからだ。自分は自分の意見をはさまずにひとつの資料を写しとっただけなのであり、また、罪を問われている書物に対しては、すくなくとも裁判長とおなじくらい無縁なのである」。
「人間のめざめが夢よりもつらく、あまりにもみごとに魅惑を断ち切ってしまうのは、贖罪といったあわれな観念を抱くようにされてしまったからである」
「コロンブスがアメリカを発見するためには、狂人たちをつれて船出しなければならなかった。この狂気なるものがどのように体現され、持続されてきたかを見るがよい。狂気への恐れから、私たちは想像力の旗を、半旗のままにしておくにはいかないのだ」
「この本は世にも純粋なかたちで、地上をはなれたいと渇望する精神の一面だけをもっぱら称揚している」
「世界はひとつの美しい書物によってではなく、地獄あるいは天国のための美しい宣伝文によって終末をとげるだろう」
「シュルレアリスムは、ひとつの秘密結社である死のなかへとあなたをみちびくだろう」
「イメージの価値は、得られた閃光の美しさにかかっており、したがって、二つの伝導体間の電位差の関数なのである。直喩のように、この電位差がほとんと存在しないときは、閃光は発生しない」
「シュルレアリスムにのめりこむ精神は、自分の幼年時代の最良の部分を、昂揚とともにふたたび生きる」
「この夏、薔薇は青い。森、それはガラスである。緑の衣におおわれた大地も、私には幽霊ほどのかすかな印象しかあたえない。生きること、生きるのをやめることは、想像のなかの解決だ。生はべつのところにある」
「言葉とは、シュルレアリスム的に用いられるように人間にあたえられているものだ」
「だからといって、私の心にかかっている『現実』が、夢の状態にあっても存続していること、記憶のかなたに消えさりはしないということがすこしも証明されていない以上、どうして私は、ときには現実に対して認めていないものを、つまりその最良の時にはけっして私の否認にさらされることのない現実自体へのあの確信のねうちを、夢に対して認めないでいられるものだろうか?」
ブルトンはシュルレアリスムをー男性名詞。心の純粋な自動現象であり、それにもとづいて口述、記述、その他あらゆる方法を用いつつ、思考の実際上の働きを表現しようとくわだてる。理性によって行使されるどんな統制もなく、美学上ないし道徳上のどんな気づかいからもはなれた思考の書きとり・・と定義している。
最もそれに相応しいのは夢であり、シャーマンが覚醒時にも自由自在に夢を操ってきた。