夜が明けたら 今日もまた
雨底の低国が煙ぶっているとってい
少しだけ残っていた元気が
みるみる また萎む
それでも
懐かしいきみの言葉が
樹々のあいだから
舞い降りてくる朝もあるのだから
いくつもの朝 谷にかかるのは風の橋
煙草の紫煙に抗議する小鳥たちのこえ
その橋の下に棲んでた渡り鳥一家が
北へと還っていったので
やっと新しい春がやってきたんだなと
腕のふるい包帯を撫でさする
逃げ水だらけの堤防を歩いゆけば
ふるさとのザエの海
流木流氷だらけの海へと続く大河
途絶えることのない波
かつてその上に
むせ返る潮の香りもあったというのに
歩いては疲れ
疲れてはまた歩き
ぼくらの失ったものの総体に打ち震えながら
傷だらけの指先には
きみの思い出のナイフと放射能への殺意だけ
思い出の硝子の断片と
また直立する樹々のように
噎せ返る血潮の
雨底の低国が煙ぶっているとってい
少しだけ残っていた元気が
みるみる また萎む
それでも
懐かしいきみの言葉が
樹々のあいだから
舞い降りてくる朝もあるのだから
いくつもの朝 谷にかかるのは風の橋
煙草の紫煙に抗議する小鳥たちのこえ
その橋の下に棲んでた渡り鳥一家が
北へと還っていったので
やっと新しい春がやってきたんだなと
腕のふるい包帯を撫でさする
逃げ水だらけの堤防を歩いゆけば
ふるさとのザエの海
流木流氷だらけの海へと続く大河
途絶えることのない波
かつてその上に
むせ返る潮の香りもあったというのに
歩いては疲れ
疲れてはまた歩き
ぼくらの失ったものの総体に打ち震えながら
傷だらけの指先には
きみの思い出のナイフと放射能への殺意だけ
思い出の硝子の断片と
また直立する樹々のように
噎せ返る血潮の