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Channel: 詩人PIKKIのひとこと日記&詩
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米国労働運動: ロサンゼルスの教員ストライキの勝利の鍵

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〔解説〕レイバーノーツ誌の2月号は前回翻訳したロサンゼルス市の教員組合ストライキの歴史的勝利を伝えるニュースがトップ記事である。2面には今回の勝利がどうして可能であったのか分析し、その裏にレイバーノーツ潮流の存在があることを明らかにした論説記事が掲載されている。前回の報告を補足し、今回のストライキの歴史的意義を明らかにするものなので、続けて翻訳して掲載する。(レイバーネット日本国際部 山崎精一)
 *毎月25日前後に「レイバー・ノーツ」誌の最新記事を紹介します。

ロサンゼルスの教員ストライキの勝利の鍵
  サマンサ・ウィンスロー(レイバーノーツ・共同理事長)


 ロサンゼルスの教員ストライキは全国で二番目に大きい教員労組による30年ぶりのストライキだった。その一週間は私にとって心が浮き立つような時間だった。

 この教員ストライキの中心的な課題はもちろん賃金と付加給付だった。しかし、勝利した多くのストライキがそうだったように、今回のストもそれ以上の物を求めていた。教育委員会が学校から価値を奪い取り、バラバラにして売渡してしまうのを阻止して、公立学校に公益として投資するよう要求したのだった。

 そして組合が勝利への期待値を高くすることにより、組合員は勇気づけられ、闘争にやる気をもつことができた。組合員たちは学校毎に、職場毎に自分たちを組織化した。滅多に雨の降らないロサンゼルス市で、ストライキの一週間の間降り続けたにもかかわらず、組合員たちは集会デモに大勢参加し、その数は毎日増え続けた。

●永年の準備

 このストライキには長時間の準備が必要だった。このストライキに参加した教員たちは20年前にロサンゼルス教員組合(UTLA)の変革を目指して最初のコーカス(注)を結成した。その精神はレイバーノーツ誌が報道していた「民主的な労働組合を目指すチームスターズ」などの改革運動から学んだのだった。

 その当時労働組合は視野を狭め、リスクを避けることによって生き延びようとしていた。UTLAの中の改革派コーカスは、他のレイバーノーツ潮流とともにこの全体的な傾向と闘おうとしていた。これらの改革派は労働組合が目標を高く持ち、職場と地域で力を持てるよう目指していた。

 UTLAの中の改革派コーカスは役員選挙に勝利しては敗北し、成功を収めたかと思うと失敗し、教訓を得てまた自らを再編した。組織化がいつもそうであるように、時間を掛けて前進していった。そして2012年にシカゴの教員たちが「生徒たちにふさわしい学校を目指して」ストライキを打ち、勝利することにより、全国の教員たちに希望の光を灯した。ロサンゼルスの教員たちも「生徒たちにふさわしい学校を目指す」キャンペーンを開始した。この2012年のシカゴ教員ストの前からロサンゼルスの教員たちはシカゴと連絡を取っており、ストの間も終了後も連絡は続いていた。今回のロサンゼルスのストライキは多くの面でシカゴのストライキを手本としている。

 両方の教員組合はレイバーノーツと一緒に教員たちの活発な全国ネットワーク「全国一般教員コーカス(UCORE)を立ち上げて、経験を交流し戦略を議論した。現在ではUCOREは全国の教員組合やその中のコーカスが加盟している。

 2014年にUTLAの中の「組合の力コーカス(Union Power Caucus)」が役員選挙に勝利して、組合指導部を担った。その選挙スローガンはより良い学校を目指して闘う展望を示し、大資本による民営化と対決するために生徒の保護者たちと共闘することを目指すものだった。指導部を担ってから4年間かけて全ての学校と職場に一般組合員のリーダーを育てていった。

 その成果は今回のストライキで示された。ストライキ準備委員会に1000人の組合員が参加し、市中心部への集会デモに連日5万人が参加し、全部の学校でそこの教員たちが自分たちでピケットラインを組織したのだった。

●特効薬

 うまく行ったストライキは交渉相手を交渉テーブルに付かせるだけではない。組合員全員を議論に巻き込み、自らの生活と自らの力を自ら決めることを可能にする。

 レイバーノーツの結成40周年を祝うのにこのストライキの勝利以上のものは考えられない。

 労働組合の衰退に歯止めを掛けるには何が必要か? この問いへの答えを組合指導者や評論家から長年にわたって聞かされてきた。―― 経営者との協調、組合の統合合併、攻撃をじっと耐え忍ぶ、派手な広告宣伝、スマホのアプリを使う組織化、労働組合法の改正、組合寄りの議員の選出など。ストライキはもう時代遅れで使い物にならない、と聞かされてきた。

 これらの意見の多くは全く間違っている。中には役に立つものもある。しかし、どれも労働組合の力を本当に強化するものではなく、その替わりにもならない。

 レイバーノーツは40年にわたって同じことを主張してきたし、止めるつもりもない。自分の職場で組織化し、職場から運動を作らねばならない、と。

 労働組合の力は組合員によりもたらされるものであり、その理想、人間関係、組織化能力に掛かっている。その全てのエネルギーを一つの方向に導けば、ロサンゼルスの900の学校で経験したことが実現できる。その光景を目の当たりにできたことは光栄なことであった。

(注)コーカス=労働組合の中に組合員により組織される独自組織のこと。結社の自由が組合員にも保障されているために、組合の中に様々なコーカスが存在しており、役員選挙の時の推薦母体や運動組織ともなる。

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