最新の詩 時代(要遂行)
いつもさもしい想いに囚われる人間は
デジャブ(既視感)の森の迷路から
永遠に逃れなれない季節外れの蝿に似ている
失ってしまったのだというよりも
遠い進化の途上で
いつの間にか放棄してしまったというのに
口中に血が満ち溢れてくるとき
夭折した母を想うよりも
死滅しつつあるテラの潮の満ち干を懐かしむ
ぼくの血の詰まった身体は
月のままに満ち干を繰り返す干潟となり
故郷でずっと
ぼくを待ちながら死んだ君の墓石を懐かしむ
自分以外の誰かになりたいと思いながら
ついには何者にもなれなかったが
それでも自分自身の始原へと
還ってゆくのを諦めたらそれで人生は終わりだ
夢みることだけは誰にも自由だが
それに耐え切れなくなった者たちが
狂気の海を越えて差別や殺戮へ向かう
もはや火が点かなくなったライターを放かる時代
切れ味が悪くなっったナイフを捨てる時代
とっくの前にぼくらは自由だというのに
そんな事に誰も目を向けようとしない時代
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最新の詩 時代(要遂行)
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