三月になるとやっとまた
ぼくらは生き返るのだった
昼間に溶けた雪が
夜中にカチンカチンに凍って
どんこまでも真っ直ぐにどこまでも
雪上を歩いてゆけるようになり
溶け始めた雪の間から
きらりきらきら
さらさらの川面が
また今年も顔をのぞかせる頃になると
「福寿草を採りに行こう」と父が呟く
残雪でまだらになった丘を
いくつもいくつも越え
風の橋を
いくつもいくつも渡り
ああ
今年もやっぱり
同じ川のほとりから
頭をのぞかせている福寿草の蕾
「みてみて!」と
従姉妹の君が指差す先の森には
まるで
絨毯みたいな片栗の群落が揺れている
ぼくらは生き返るのだった
昼間に溶けた雪が
夜中にカチンカチンに凍って
どんこまでも真っ直ぐにどこまでも
雪上を歩いてゆけるようになり
溶け始めた雪の間から
きらりきらきら
さらさらの川面が
また今年も顔をのぞかせる頃になると
「福寿草を採りに行こう」と父が呟く
残雪でまだらになった丘を
いくつもいくつも越え
風の橋を
いくつもいくつも渡り
ああ
今年もやっぱり
同じ川のほとりから
頭をのぞかせている福寿草の蕾
「みてみて!」と
従姉妹の君が指差す先の森には
まるで
絨毯みたいな片栗の群落が揺れている