サクランボの咲くころには毎年
悲しみでいっぱいになる
ぼくの家の森でできたサクランボは
町でまったく売れなかった
町が小さかったせいもあるけど
北海道の開拓農家ではどこでも
サクランボの樹を植えていたからだった
光を浴びてキラキラ輝く
サクランボの実ほど美しいものはない
すくっと大地に立つ
サクランボの樹ほど神々しいものはない
父はそれでも毎年
サクランボの樹の元へと家族を連れてゆく
その実を食べるためではなく
キラキラと輝く樹を半日見上げてるだけなのに
悔しい思い出でいっぱいの
父だったのかもしれない
サクランボの実ほど旨いものはないのに
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