「好きな食べ物は?」って
今日もまた聞かれた
昨日スーパーで観たウドが咄嗟に頭に浮かんで
「ウドの酢味噌だべか」
最近いよいよ
朽ちてゆく難破船へと降り注ぐ放射能や怒りの声
振り返ればそこには
涙ぐみ途方にくれる人々の影また影
こんな吹雪の夜に
いつも思い出すのは両親の優しい眼差しと
風邪で寝てたぼくへの問いかけ
「何が食べたい?」
「鰈の煮付け」
それから父が吹雪の中を数キロ歩いて魚屋から買ってきて
母がそれを煮てくれた
次の日の朝の煮こごりが
カラカラに乾いた喉に染み通った
好きなものは
それ以外にもたくさんある
好きなものは
誰もにとっても人間の証しだったはずなのに
家族揃っての晩夏
縁側に並んでの線香花火
目も開けられない吹雪へと飛び出して
はあはあ言いながら
叫んでいたきみの名前
今日もまた聞かれた
昨日スーパーで観たウドが咄嗟に頭に浮かんで
「ウドの酢味噌だべか」
最近いよいよ
朽ちてゆく難破船へと降り注ぐ放射能や怒りの声
振り返ればそこには
涙ぐみ途方にくれる人々の影また影
こんな吹雪の夜に
いつも思い出すのは両親の優しい眼差しと
風邪で寝てたぼくへの問いかけ
「何が食べたい?」
「鰈の煮付け」
それから父が吹雪の中を数キロ歩いて魚屋から買ってきて
母がそれを煮てくれた
次の日の朝の煮こごりが
カラカラに乾いた喉に染み通った
好きなものは
それ以外にもたくさんある
好きなものは
誰もにとっても人間の証しだったはずなのに
家族揃っての晩夏
縁側に並んでの線香花火
目も開けられない吹雪へと飛び出して
はあはあ言いながら
叫んでいたきみの名前